2016年11月11日 13:00 〜 14:00 10階ホール 
グレン・フクシマ 米先端政策研究所上席研究員「変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選」13

会見メモ

米民主党外交ブレーンの一人。「『真の改革はエスタブリシュメント外の人間しかできない』との訴えを浸透させたのが勝因」と大統領選を分析。「トランプ氏が公約を実行すれば大混乱になる」。中央公論8月号寄稿の「トランプはなぜ日本嫌いなのか」も紹介。
司会 石川洋 日本記者クラブ企画担当部長


会見リポート

経済政策、具体論は今後の課題 日米FTAの可能性は小さい

川北 隆雄 (東京新聞出身)

「今回の結果は驚きで、米国の友人もびっくりしていた」。クリントン氏の勝利を予測していたフクシマ氏は、会見の冒頭で米大統領選の結果に率直な感想を述べた。

 

1980年代に米通商代表部(USTR)で日本担当部長などを務めたのち、実業界に転じ、在日米商工会議所会頭も務めた日系3世。日米経済関係の専門家である。プロが見立てるトランプ氏の経済、対日政策はどうか。

 

経済政策については、「インフラ投資とか、所得、法人税の引き下げなど景気刺激策を主張している。既にあるNAFTA(北米自由貿易協定)への疑念や、これからのTPP(環太平洋経済連携協定)への反対論なども。ただ、何を重点的に優先課題として取り組むのか」と、具体策は今後の問題とする。

 

トランプ氏が「日本に牛肉を輸出しようとすると38%の関税が課せられるので、日本からの自動車輸入には同じ関税をかける」と発言したことに関しては、「実際に大統領になったら、どう行動するか。彼の本心、本音は、今の時点では分からない」と、今後の日米間の協議、交渉などが大事と言う。

 

では、TPPは今後どうなるのか。「現在考えられているような形で残ることはないだろう」と言う。TPPが頓挫した後に、日米2国間でFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)が結ばれる可能性はあるのか。「トランプ氏は、2国間ならいいと言っているわけではない。要するに、米国が大事で、他国のことをそんなに構っていられない、ということではないか」と指摘する。要するに、アメリカ・ファーストなのだ。

 

日本経済にとって、タフでハードな大統領らしい。


ゲスト / Guest

  • グレン・フクシマ / Glen S. Fukushima

    アメリカ / USA

    米先端政策研究所上席研究員 / Senior Fellow, Center for American Progress

研究テーマ:変わるアメリカ 変わらないアメリカ 米大統領選

研究会回数:13

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