2016年10月11日 15:30 〜 17:00 9階会見場
「<日銀検証>を検証する」①門間一夫 みずほ総研エグゼクティブエコノミスト

会見メモ

調査統計局長などを経て今年5月まで日銀理事を務めた門間氏が「内外経済や金融政策をどう考えるか」と題して話した。「日本の20年は失われていない。生産年齢人口一人当たりの実質GDPでみれば日米の実質的な生産性は似た伸び」「インフレ目標2%は野心的すぎるともいえる」
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

重要で根本的な議論とは?

竹田 忠 (企画委員 NHK解説委員)

どれだけやっても、いつまでやっても、達成できない物価の2%上昇。ついに日銀はこれまでの金融緩和を総括・検証し、新たな枠組みの導入を決定。この“検証”を検証するシリーズのトップバッター、前日銀理事の門間さんは、わかりやすく、明快な言葉で論点を整理。特に参加者の注目を集めたのは、いくつかのキーワードの捉え方で、気になる“ズレ”が生じているのではと目からウロコの指摘をされたこと。

 

その1つが、まず、そもそも、国民の予想物価上昇率(インフレ期待)を高めることで、インフレ2%を実現しようとしていることについて、この“予想”という言葉の使い方が曲者(クセモノ)だと解説。ここで使われている“予想”の意味は、多くの人が思っているような、単に頭で考えるとこうなるだろう、というような程度のものではなく、あえて言いかえれば、“常識”とか“習慣”という言葉で置き換えるべきものだという。そう考えると、今まで長い間、モノの値段は下がって当たり前だと思っていた人を、逆に上がるのが当たり前だと思うように変えることが、いかにハードルの高いことか、再認識されるのではと説明。

 

さらに、実は低い低いと言われる日本の生産性が、実はアメリカと比べても、決して低いわけではない、という説も紹介され(49分20秒~)、本当に成長を目指せるのか?また、目指すべきなのか、重要で根本的な議論をすることの必要性が提起された。中身の濃い、充実した90分、お見逃しなく。


ゲスト / Guest

  • 門間一夫 / Kazuo Momma

    日本 / Japan

    みずほ総研エグゼクティブエコノミスト / Executive Economist, Mizuho Research Institute Ltd.

研究テーマ:<日銀検証>を検証する

研究会回数:1

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