2016年07月01日 11:00 〜 12:00 10階ホール
「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)」 会見

会見メモ

核軍縮検証のための国際パートナーシップ(International Partnership for Nuclear Disarmament Verification IPNDV)3回目の国際会議(6/28~30)を終えて会見を行い、記者の質問に答えた。
フランク・ローズ米国務次官補/米シンクタンク「Nuclear Threat Initiative」アンドリュー・ビエニアウスキ副会長/相川一俊 外務省軍縮不拡散・科学部長/デイビッド・チェンバーズ 英外務省上級首席研究分析官(WG1共同議長)/ロバート・フロイド豪外務省保障措置・不拡散局長(WG2共同議長)/ミシェル・スミス米エネルギー省核検証室課長補佐(WG3共同議長)
司会 石川洋 日本記者クラブ企画部長
通訳 友田淳治、矢部道子
写真左からフロイド氏、ビエニアウスキ氏、ローズ米国務次官補、相川一俊外務省軍縮不拡散科学部長、チェンバーズ氏、スミス氏


会見リポート

核軍縮検証の議論も“核なき世界”への道険し

津屋 尚 (NHK解説委員)

「IPNDV=核軍縮検証のための国際パートナーシップ」は、アメリカ・オバマ政権の提唱で昨年から始まった核軍縮の取り組みだ。核兵器の確実な削減を検証する方策やその課題を技術的な側面から議論するための枠組みで、5つの核兵器国に加え20以上の非核保有国も参加している。

 

前日(6月30日)まで東京で開かれた全体会合に参加したアメリカのローズ国務次官補や外務省の相川一俊軍縮不拡散科学部長ら6人が会合の概要を説明し、核兵器国と非核兵器国が参画していることの意義を強調した。

 

会合は、政治的な議論の場ではないが、将来の核軍縮に向けて、核弾頭の解体とそれによって生じる核物質の管理状況をモニターすることが最も重要である点で一致したという。ミサイルなどの運搬手段ではなく核弾頭そのものの解体を検証しようという点は確かに野心的だ。その一方で、核兵器は保有国にとって最高機密に属するので、いかに機密部分に触れることなく解体や保管をモニターするのかという極めて難しい課題に直面することになるだろう。

 

しかし、そもそもこのスキームが必要とされる日はいつ来るのか。オバマ大統領自身、プラハや広島で自らの生きている間には“核なき世界”は実現しないだろうと表明している。ローズ国務次官補は「核軍縮は現実的でなければならない。攻撃性を増すロシアや核武装した北朝鮮の存在など安全保障環境は大きく変化している。IPNDVは、将来、安全保障環境が整った場合の核軍縮の構成要素のひとつだ」とあくまで長期的なビジョンの取り組みである点を強調した。

 

G7外相会議での「広島宣言」に続き、アメリカ大統領の初めての広島訪問も実現し、核兵器廃絶を目指す機運は一定程度の盛り上がりをみせてはいるものの、「核兵器なき世界」に向かう道はまだまだ遠く険しい。それでも一歩一歩、歩みを進めていけばいつの日か、希望の光は見えるのか。気が遠くなりそうになりながらも諦めることは許されない。それが核軍縮であり、被爆国日本が背負う役割なのかもしれない。


ゲスト / Guest

  • 「核軍縮検証のための国際パートナーシップ(IPNDV)」 / International Partnership for Nuclear Disarmament Verification (IPNDV)

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