2016年02月16日 10:50 〜 11:30 10階ホール
ビショップ 豪外相 会見

会見メモ

オーストラリアのビショップ外相が会見し、記者の質問に答えた。
司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

バランス意識か「日中どちらも重要」

坂東 賢治 (企画委員 毎日新聞社専門編集委員)

日本記者クラブでの会見は自由党政権発足直後の13年10月、東京で日豪外務・防衛閣僚協議(2プラス2)が開かれた14年6月に続き、3回目だ。昨年9月の与党党首選でターンブル政権が誕生した後も外相ポストを維持した。副党首も務める実力者らしく、会見でも隙のない受け答えが目立った。

 

冒頭のスピーチではまず、オバマ米政権のアジアへのリバランス政策を評価し、米国のプレゼンスの重要性を強調してから、対中政策に言及した。中国の台頭が地域の繁栄につながっていると歓迎する一方で、力に見合った貢献を求めるなど、いろいろなバランスを意識したような発言が続いた。

 

訪日後、中国訪問を控えていたため、あえて「オーストラリアにとって日本と中国のどちらが重要か」といじわるな質問をぶつけてみたが、「どちらも重要で優劣はつけていない」「北東アジアの各国と良好な関係を築きたい」とやはり優等生的な答えが返ってきた。

 

中国が人工島建設を進める南シナ海問題では「埋め立てで何をしようとしているのか、(中国側から)深く聞きたい」などと述べたが、中国を刺激するような批判的な言葉遣いは慎重に避けていた。安倍晋三首相とうまがあったアボット前首相時代と比べると、やや中立的な立ち位置ではないかとも感じた。

 

会場の記者たちの関心は日独仏3カ国が名乗りを上げている豪州の次世代潜水艦建造の共同開発国選定の行方にあったようだが、まだ、決定段階には遠いようだ。外相は「日本が戦略的な側面をアピールしていることは理解している」と指摘する一方で「評価プロセスの最中で、まだ時間がかかる」と言質を与えず、リップサービスはなかった。ただ、どんな質問もいやがらず、誠実に答えていただいたことは付け加えておきたい。


ゲスト / Guest

  • ジュリー・ビショップ / Julie Bishop

    オーストラリア / Australia

    外相 / Foreign Minister

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