2015年12月22日 12:00 〜 14:00 10階ホール
アファナシエフ 駐日ロシア大使 昼食会

会見メモ

ロシアのアファナシエフ駐日大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

必要なのは「外交の技」

山内 聡彦 (NHK解説委員)

ウクライナ危機で孤立していたはずのロシア。昨年、中東シリアで攻勢に転じ、一躍国際舞台の中心に躍り出た。プーチン大統領の訪日は再び先送りとなったが、そのロシアのエブゲーニー・アファナシエフ大使が日ロ関係を熱くユーモアを交じえながら語った。強調したのは「外交の技(art of diplomacy)」。シリアやウクライナなど国際問題を日ロ関係の人質にしてはならず、外交力で問題を解決すべきだと訴えた。

 

プーチン訪日については「もともと時期は決まっておらず、先送りではない。重要なのは訪日がいつになるのかではなく、いかに準備するのか、どのような成果があるかだ」と強調した。

 

プーチン訪日の前の安倍総理の訪ロの可能性については、いつどこでというのは時期尚早で分からないと、あるエピソードを引きながら答えた。自らのワシントン勤務時代、大使館近くの店でコーヒーを飲みながら新聞を読んでいたら、客同士でこんな会話があったという。「ジョン、今朝はどうかね」「まだ時間が早すぎる。一日たってみないと答えられないよ」。さすがアネクドートの国ロシアの外交官らしく軽妙な受け答えだった。

 

日ロ関係の現状について、「日ロ貿易は、2015年は前年より30%減る見通しだ。中ロの3分の1、日中の10分の1にすぎない」と嘆き、ロシア経済の悪化だけではなく、政治的な制約や心理的な影響も大きいと指摘した。一方的ではなく、双方向の関係が重要だと強調しシベリア極東開発への日本の協力に期待を示した。

 

シベリア育ちのアファナシエフ大使。赴任して3年8カ月がたった。13年、安倍総理の訪ロに同行。総理が桜の苗木を植えた際、大使が「平和の木(peace tree)ですね」と声をかけたところ、総理が「平和条約(peace treaty)だよ」と切り返したというエピソードも披露した。双方が「外交の技」を発揮し、2016年に日ロ関係が前進することを期待したい。


ゲスト / Guest

  • エブゲーニー・アファナシエフ / Evgeny V. AFANASIEV

    ロシア / Russia

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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