2015年10月06日 15:00 〜 16:15 9階会見場
ルカス・カラツォリス 駐日ギリシャ大使 会見

会見メモ

チプラス首相の続投が決まったギリシャのカラツォリス大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 福本容子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「われわれは危機の最中にある」

鳳山 太成 (日本経済新聞国際アジア部)

財政破綻とユーロ圏離脱をひとまず回避したかと思えば、今度は難民問題だ。危機の震源地として、地中海の玄関口として、ギリシャ情勢は日本でも盛んに報じられるが、理解しがたい点も多い。「ギリシャは危機の最中にある」と切り出したカラツォリス氏は、母国の実情を丁寧に解説した。

 

公約を守らなかったチプラス首相が9月の選挙で再び勝利したのはなぜか。「有力な対抗馬がいなかった」との指摘は確かだろう。だが肝心なのは「改革が必要という共通認識がギリシャ国民に出来上がっている」との分析だ。旧体制を批判する若きリーダーが国民の負託を受け続けるのは、かすかな望みにかける国民の窮状を映している。

 

日本のメディアには財政や難民だけでなく「安全保障にも目を向けてほしい」と注文をつけた。にわかにはピンとこないが、列強に翻弄された苦い歴史と、「不幸なことに黒海や中東・北アフリカといった不安定な地域に囲まれている」という今の危機感に由来するのだろう。同じ島国として周辺国の脅威にさらされている日本との共通項は財政問題に限らない。今後の動向も丹念に追わなければいけない。そう感じさせられる会見だった。


ゲスト / Guest

  • ルカス・カラツォリス / Loukas Karatsolis

    ギリシャ / Hellenic Republic

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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