2015年08月06日 14:00 〜 15:30 9階会見場
坂本慎一 PHP研究所主事 「戦後70年 語る・問う」(29)思想史から見た玉音放送

会見メモ

『玉音放送をプロデュースした男 下村宏』の著者である坂本慎一氏が「思想史から見た玉音放送」というテーマで話し、記者の質問に答えた。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

玉音放送の”謎”を解く

竹田 忠 (企画委員 NHK解説委員)

戦後70年を機に、宮内庁が玉音放送の録音原盤と音声を初公開した。本土決戦を覚悟していた国民はラジオで初めて天皇の声を聞くことで、厳しい敗戦を受け入れ、その後の占領にも従うことになった。

 

この日本史上、最も衝撃的な放送は、いかにして生まれたのか? NHKドラマ「玉音放送を作った男たち」の原作者・坂本氏は、時の情報局総裁で、日本放送協会の会長も歴任した下村宏こそが発案者で仕掛け人であり、ラジオというメディアの力を熟知していた彼が、いかに周到な準備を重ねたかを発掘資料などを駆使して説明した。

 

しかし、今ではこのことはほとんど知られていない。それは下村自身が、その功績を消し去ったためだという。それはなぜか? 戦後の食糧危機や天皇の戦争責任論などが台頭する中で、すべてはご聖断のおかげとすることで、天皇制を守り抜こうとしたためではないかと推論した。

 

最近、若い研究者の間から、日本は敗戦をきちんと総括できていない、敗戦に至る経緯や事実を見ないようにしているという指摘が出ているが、まず、戦後の出発点から解明することが必要ではないか。


ゲスト / Guest

  • 坂本慎一 / Shinichi Sakamoto

    日本 / Japan

    PHP研究所主事 / Coordinator, Generaladministration department, Research division, PHP Institute

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:30

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