2015年07月13日 14:00 〜 15:30 10階ホール
作家、演出家 ロジャー・パルバース氏 「戦後70年 語る・問う」(24)2015年の日本~曲がり角なのか?それとも、関ヶ原か?

会見メモ

宮沢賢治作品の英語訳などで知られるロジャー・パルバースさんが「2015年の日本から曲がり角なのか?それとも、関ヶ原か?」と題して話し、記者の質問に答えた。
司会 中井良則 日本記者クラブ専務理事


会見リポート

広島・長崎を「物語」にしなかった戦後

中井 良則 (日本記者クラブ専務理事)

日本語を知らずに初めて東京に来たのは1967年。目黒駅近くでおでんの屋台に入った。「チクワ」が最初に覚えた日本語だった。それから約半世紀。ニューヨーク生まれのユダヤ人作家は日本に住みつき、宮沢賢治や井上ひさしを英訳し世界に紹介した。今年は戦争中の沖縄を舞台に風変わりな小説『星砂物語』を日本語で書いた。

 

越境者が見た戦後日本は、持つべきナラティブ(説話、物語)を失った姿らしい。「ユダヤ人はナチのホロコーストを民族の物語の中心にした。同じように、広島・長崎の原爆は戦後日本のナラティブになるべきだった。20世紀最大の災難なのに、日本人は原爆投下を異物として、マイナーなこととしか語らない。残念です」

 

沖縄も3・11大震災の東北も忘れられたようにみえる。「ナラティブにしていないし、メーンテーマだ、と感じないのは間違いです。沖縄や岩手を抱きしめる。そうしないと、日本はこれからどうなるか不安だ」

 

記憶の枠組みを作れば、次世代に伝え、世界に発信できる。ナラティブという概念で、戦後の欠落をすくい上げる。そう受け止めた。


ゲスト / Guest

  • ロジャー・パルバース / Roger Pulvers

    オーストラリア / Australia

    作家、演出家 / writer

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:24

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