2015年06月05日 15:00 〜 16:00 10階ホール
研究会「デング熱ほか蚊媒介感染症流行への対応」 高崎智彦 国立感染症研究所第一部第2室長

会見メモ

昨年、70年ぶりにデング熱の国内感染が認められた。輸入症例が増える7月を前に、高崎博士が症例や感染の広がり、対応などについて解説し、記者の質問に答えた。
司会 宮田一雄 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)


会見リポート

地球規模で人が移動 「備えよ、常に」

木村 彰 (日本経済新聞編集委員)

昨年、約70年ぶりに国内で感染が確認されたデング熱にどう備えるのか。流行期を前に語ってもらった。まず、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカについて「卵で越冬し5月に羽化、7月下旬から8月上旬に吸血活動がピークとなる」と説明。「今年は、海外で感染して国内で発症する輸入症例のペースが昨年、一昨年より早い」と警戒を呼びかけた。

 

気になるワクチンや検査法の開発状況については「いくつかのワクチン開発が進行中だが、効果が期待できるワクチンはまだない」「診断法には遺伝子検査(PCR法)、NS1抗原検出ELISA法などがあり、特に、今年6月からELISA診断キットによる検査が保険適用になった意義は大きい」と話した。

 

政府がまとめた「蚊媒介性感染症予防指針」は、市民にも「蚊を増やさない」などの注意を求めている。「ヒトスジシマカの幼虫は古タイヤや植木鉢の受け皿など小さな容器にたまった水で発生するので、生活環境からこうした水たまりをなくしたり雨水枡に薬剤を入れたりして、幼虫を増やさない心がけが必要だ」と強調した。

 

地球規模で人が移動し、地方空港にも航空機が飛来する時代。揮ごうの言葉は「備えよ、常に」だった。


ゲスト / Guest

  • 高崎智彦 / Tomohiko Takasaki

    日本 / Japan

    国立感染症研究所第一部第2室長 / National Institute of Infectious Diseases, Japan

研究テーマ:デング熱ほか蚊媒介感染症流行への対応

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