2015年06月04日 15:00 〜 16:30 9階会見場
石田憲 千葉大学教授 「戦後70年 語る・問う」⑲ イタリアの戦後処理

会見メモ

石田憲教授が、イタリアの戦中から戦後について解説し、記者の質問に答えた。
司会 土生修一 日本記者クラブ事務局長


会見リポート

イタリアの戦勝国史観 若手研究者には脱却の動き

秦野 るり子 (読売新聞教育ネットワーク事務局専門委員)

戦後70年の今年、日本との比較においてドイツについて語られることは多いが、今回の会見は、イタリアの対応について知るまれな機会となった。

 

「抵抗運動が欠落していた日本」に対し、イタリアでは、パルチザンがドイツ占領軍とファシズム体制に対し武装闘争を展開した。イタリアが特異なのは、ムソリーニを捕らえて処刑し、ドイツに占領されていた北部諸都市を自らの手で解放したことから、国民の間に「敗戦国」ではなく、連合国側の一員として終戦を迎えた「戦勝国」としての意識が強いことだ。「左派の学者ですら『戦勝国史観』を持つ人がいる」という。

 

共和制移行後の初代首相デ・ガスペリが、初訪米の際に「第1の議題として持ち出したのは、植民地の維持であり、賠償問題は念頭になかった」ことにもそれが現れているのだろう。ヒトラーの著書の国内での発行を禁じてきたドイツに対し、イタリアではムソリーニの全集も店頭に並ぶ。ただ、「イタリアの戦中の不正行為をきちんと調べて責任を果たすべきだという声が若い研究者の間から出ている」と、戦勝国史観からの脱却の動きが紹介された。


ゲスト / Guest

  • 石田憲 / Ken Ishida

    日本 / Japan

    千葉大学教授 / Professor, Chiba University

研究テーマ:戦後70年 語る・問う

研究会回数:19

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