2015年05月26日 14:00 〜 15:30 9階会見場
齋藤隆 元統合幕僚長 「日米安保を考える」③

会見メモ

2006年から09年まで統合幕僚長を務めた齋藤隆氏が「日米安保を考える-現場の目から」というテーマで話し、記者の質問に答えた。
司会 島田敏男 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

すでに高いリスク負う現場 「死」への想像力と覚悟はあるか

豊田 洋一 (東京新聞・中日新聞論説委員)

時宜を得た研究会だったのではないか。衆院本会議で審議入りした安全保障関連法案の質疑が行われている最中に、かつて自衛隊を束ねた海の武士(もののふ)は「現場」の視点で語り始めた。

 

安倍内閣が「平和安全法制」と名付けた法案は集団的自衛権の行使に道を開き、外国軍隊を後方支援するために自衛隊の海外派遣を随時可能にする内容だ。政府は否定するが、戦後日本が堅持してきた「専守防衛」の抜本的転換を意味する。

 

齋藤氏の評価は「85~95点取れる」と及第点。集団的自衛権は「発動させてはいけない」ものの、訓練の幅が広がり「日本がいろんなカードを持って、抑止力として働く」からだそうだ。

 

自衛隊員のリスクは「高くなっているとは思えない」と否定した。掃海艇派遣やインド洋での給油活動、イラク派遣など、すでに高いリスクを負っていたというのが、現場の実感だという。

 

印象的だったのが「戦死者」とどう向き合うのかという問題提起。自衛隊員を戦闘死に至らせては決してならないが、この法案を推進する政治家やそれを支持する国民に、死への想像力と覚悟がどれほどあるのかと、考え込んでしまった。


ゲスト / Guest

  • 齋藤隆 / Takashi Saito

    日本 / Japan

    元統合幕僚長 / former Chief of Staff, Joint Staff, Ministry of Defense

研究テーマ:日米安保を考える

研究会回数:3

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