2014年11月10日 14:00 〜 15:00 10階ホール
著者と語る『現代ジャーナリズム事典』

会見メモ

Kenta Yamada, Professor Senshu university / Toru Takeda, journalist

『現代ジャーナリズム事典』(三省堂)を監修した山田健太教授、武田徹氏が会見した。山田氏は「ジャーナリズム関連項目を体系的に網羅し、アイウエオ順に並べた事典は日本で初めて」と刊行の意義を語り、武田氏は「マスメディアでは情報の刺激だけを重視する傾向があるが、真実性・公共性にもとづくジャーナリズム・システムを作るのが課題」と指摘した。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信編集委員室長)
写真左=武田徹氏、右=山田健太氏


会見リポート

初の本格的ジャーナリズム事典刊行 いまを知るための700項目

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)

充実した「著者と語る」だった。日本では本格的なジャーナリズム事典は初めてという。700項目を体系的にまとめ、ジャーナリストだけでなく「いまを生き、いまを知るために役立つ」目的でつくられたという。


いまの社会は真実性よりもセンセーショナルで刺激的な情報があふれがちだが、武田氏はあくまで「真実性、公共性」を求めていくジャーナリズム・システムを支援する意味もこの事典に込めたと説明した。


興味深いのは最近の誤報問題への見解だ。武田氏は、速報性はジャーナリズムが担う公益性の要求への答えであり、ジャーナリズムは不確かなものにも時に踏み込んでいくものだと指摘、「いまは無謬性神話ができてしまった」と警告した。適切な訂正はもちろんだが、ジャーナリズムは誤報する、という事実を社会に知らしめていくべきだという。


また山田氏は、倫理問題でなく「国益毀損」を理由に誤報を考えるのは極めて珍しいと指摘、国益とジャーナリズムの在り方、国家のジャーナリズムに対する干渉の問題に注目した。


エボラ出血熱報道をめぐる「恐怖意識に頼る報道」や「報道ルール」の質問も出て活発なやりとりが続いた。


ゲスト / Guest

  • 武田徹・恵泉女学園大教授、山田健太・専修大教授 / Kenta Yamada, Professor Senshu university / Toru Takeda, journalist

    日本 / Japan

研究テーマ:現代ジャーナリズム事典

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