2014年10月01日 15:00 〜 16:30 10階ホール
結城康博 淑徳大学教授 「現代日本の貧困」④ 高齢者福祉・介護現場から探る

会見メモ

自治体のケアマネジャーなどとして福祉現場での経験もある結城教授が、高齢者の貧困について語った。高齢者間の経済格差が拡大していることや、介護離職が招く貧困など高齢者福祉を削ることで「子ども=現役世代」の負担が増すことなどを指摘、社会保障問題において「現役世代 vs 高齢者」といった構図でとらえる傾向に疑問を呈した。

司会 軽部謙介 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

高齢者の中で生まれる「格差」 年金減額で所得再分配も

軽部 謙介 (企画委員 時事通信解説委員長)

3000万人を超える高齢世代の貧困はどのような実態なのか。


4分の1は年150万円以下で暮らし、19%は貯蓄が300万円に届かない。セーフティーネットとしての生活保護も高齢者の受給申請が増えているが、体力の衰えから就労支援が困難だ。また保護申請を受け付ける自治体の福祉現場が劣化しているという「古くて新しい問題」も解決していない。


一方で500万円以上の所得を得ている65歳以上も12%に達し、2000万円以上を蓄えている人も約2割いる。


最近は、子育て世代に比べ高齢者が優遇されているという議論が目立つ。しかし、ケアマネージャーとして福祉の現場に身を置いていた経験から、こういう二項対立的な捉え方は現実の正確な把握にはつながらないと警告する。


「一口に高齢者というが、その中で格差が生まれており、ひとくくりの議論はできない」


所得の高い階層から年金減額などの手法を通じて高齢者間の所得再分配を行うことも、解決策の1つと提言していた。


ゲスト / Guest

  • 結城康博 / Yasuhiro Yuki

    日本 / Japan

    淑徳大学教授 / Professor, Shukutoku university

研究テーマ:現代日本の貧困

研究会回数:4

ページのTOPへ