2014年08月20日 15:00 〜 16:30 10階ホール
著者と語る 馬場公彦氏 『現代日本人の中国像 日中国交正常化から天安門事件・天皇訪中まで』 

会見メモ

同著は2010年に出版した『戦後日本人の中国像 日本の敗戦から文化革命・日中復交まで』の続編。馬場氏はこの2冊で1945年から1992年までに日本の論壇誌に掲載された4158篇の中国関連記事を分析し、日本人の対中国意識の変遷をたどっている。

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞社)


会見リポート

日中和解 民間交流の重要さを説く

鈴木 美勝 (時事通信解説委員兼「外交」編集長)

『現代日本人の中国像』は、『戦後日本人の中国像』の続編。前作は「戦後敗戦から文化大革命・日中復交まで」を対象とし、今作は日中復交の翌年(1973)から天皇訪中(92)までを対象としている。


馬場氏によると、日中復交までの時代は、学者、作家、ジャーナリストや戦前・戦中の中国体験を有する多様な人々が中国論の担い手だった。特に革命中国に憧憬の念を持つ知識人は国民世論をリードしたが、復交後、日中関係は「好転から暗転」へと展開。中国研究者、北京特派員らチャイナ・ウオッチャーが論壇誌の書き手の中心となった。


現地取材・調査、一部公表資料を基にその実像に鋭く切り込んだ中国論が論壇に流れ込み、「虚像」と「実像」2つの中国が白日の下にさらけ出された。92年、天皇陛下の訪中によって「新しい未来を見据えた関係へという機運が盛り上がった」が、その後、日中関係は不信や対立という「逆スパイラル」を描き、今日に至っている。


馬場氏は最後に「民間交流の重要さ」を説き、真の日中和解に期待を込めた。「日中民間交流はまだ若くて不十分だが、民間交流が増えていけば量が質に転化し、その中から新しい模索が見えてくるのではないか」―。


ゲスト / Guest

  • 馬場公彦 / Kimihiko Baba

    日本 / Japan

    作家 / Writer

研究テーマ:『現代日本人の中国像 日中国交正常化から天安門事件・天皇訪中まで』 

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