2014年08月06日 14:00 〜 15:30 10階ホール
著者と語る『ワシントンの中のアジア』ケント・カルダー 米ライシャワー東アジア研究所長

会見メモ

米ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長が、近著『ワシントンの中のアジア』について話し、質問に答えた。グローバルな政治都市として重要性をますワシントンで、中国や韓国と比べて、日本の存在感が薄くなっていると。

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信社)


会見リポート

「グローバル政治都市」ワシントンで 存在感薄まる日本

金子 秀敏 (毎日新聞客員編集委員)

カルダー氏は同席した通訳を使わずに、「時間の節約になるから」と日本語で話した。日本に言いたいことが積もっていたのだろう。


「ワシントンは静かに変わった」と力説した。言葉の裏に、それに気づかない日本へのいら立ちがある。ワシントンは、米国の首都を超えて「グローバル政治都市」という「情報複合体」になった。狭い地域にシンクタンクや各国NGOがひしめき、アジェンダ設定を競って世界を動かしている。特に中国、インド、韓国などアジアの国々は、この舞台に人材や資金を投入しているのに、日本だけが出先事務所を縮小している。


カルダー氏の英文資料のなかに「Penumbra of Power」の図があった。日本語版には「権力の半影」と訳されて掲載されている。「ペナンブラ」は天文学用語で、皆既食になった月の周囲にできる薄い光の影。ワシントンでは、議会や政府のような権力の実体を取り囲むメディア、シンクタンク、NGOなどの情報複合体がグローバル政治を動かしている。韓国系団体が米国で起こした「従軍慰安婦問題」がグローバルなアジェンダになったのが、その例だ。


ゲスト / Guest

  • ケント・カルダー / Kent E. Calder

    アメリカ / U.S.A

    米ライシャワー東アジア研究所長 / Director, Edwin O. Reischauer Center for East Asian Studies, Johns Hopkins School of Advanced International Study(SAIS)

研究テーマ:著者と語る『ワシントンの中のアジア』(中央公論新社)

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