2014年06月06日 14:30 〜 15:30 10階ホール
シュヴァイスグート駐日EU大使 記者会見

会見メモ

シュヴァイスグート駐日EU大使が会見し、EU議会選挙後の課題や欧州委員会委員長の人選問題などについて語った。既存政党グループは前回の選挙に比べ、すべて議席を減らしたが7割の議席を確保した。ただし、ポピュリストや欧州懐疑派の台頭は、EUの価値に疑問が投げかけられたものとして、対応が必要になる、とも。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

会見リポート

欧州議会選挙 EUが変わるためには

粟村 良一 (共同通信記事審査グループ長)

「より緊密な同盟」を目指す欧州連合(EU)の欧州議会選挙で、EU統合に反対する勢力が躍進した。ユーロ危機から立ち直りかけた欧州には新たな打撃だ。大使は「欧州の深刻な経済危機が長引き、社会に傷が残り不安定・不透明感が漂う中での選挙結果」と解説した。もっとも「既存の保守、社民系の政党はすべて議席を減らしたが、合わせると総議席の7割を超え、主流派を維持したことに変わりない」。


それでも選挙後、EU28カ国首脳は「懐疑派の台頭は、EUの価値として受け入れられてきた在り方に疑問を投げかけた。対応が必要だ」と認めるしかなかった。EUは変わらなければいけない。では何をなすべきか。


大使の回答は明快だ。EUの最優先課題は①経済成長を促し、雇用を創出、各国の競争力を強化すること②不法移民の取り締まりと犯罪対策、安全な社会づくり③EUと加盟国との間での政策の仕分け。懐疑派が批判する3つの弱点の克服だ。


しかしドイツとともにEU統合をけん引してきたフランスの指導力の失墜をみても、前途は極めて厳しい。懐疑派の付け入る余地もそこにある。EUは変われるのだろうかと考え込んでしまう。


ゲスト / Guest

  • ハンス・ディートマール・シュヴァイスグート / Hans Dietmar Schweisgut

    EU / European Union

    駐日大使 / Ambassador

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