2014年06月02日 18:00 〜 19:35 10階ホール
試写会「パークランドーケネディ暗殺、真実の4日間」原題:Parkland

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会見リポート

半世紀後に明かされた「あのとき」

平本 和生 (元TBS報道局長)

50年余前の歴史的なニュースを、どこで聞いたか鮮やかな記憶がある。母の実家の柿の木の上でだった。が、日米初の宇宙中継がその死を報じたという、もう1つの歴史的ニュースは後から得た記憶だ。


わが家にはまだテレビがなかった。ケネディ大統領の就任演説がレコードになり、高校生の私は買い求め丸暗記し、高揚しながら口ずさんでいた。40代のリーダーの登場と突然の死は当時の若者に相当な衝撃を与えた。


20年後、38歳になった私は、特派員としてワシントンに駐在していた。ダラス空港から、乾いた南部の風の中を走って暗殺現場に向かった。不気味な恐ろしさを感じながら…。アメリカ合衆国大統領が狙撃され〝即死〟した現場に向かうのだ。何度もあの8ミリ映像は見ていた。時には血が飛ぶあの瞬間を正視できなかったほどだ。


あらかじめ地図上で走行演習をし、大統領車がパレードした通りに広場に走り入れた。


「うん?…」。それが第一声だったに違いない。現場の公園が想定より小さいというか狭い。T字路を右に折れて公園の区域に入る。いったん信号で止まる。正面の角が、倉庫で銃と薬きょうが見つかった、れんが作りのビルだ。信号が青に変わる。左に折れてスロープを下り始めた所で後部座席の大統領を銃弾が襲うのだ。


車を降りて8ミリが撮影された台に立つ。近い。もう惨劇は目の前で起きている。倉庫のオズワルドが狙った階にも上る。大統領車はすぐ真下に見えたはずだ。


映画は病院と、FBIダラス支局に焦点を当て展開してゆく。緊急事態へと突き落とされる2つの別の現場をドキュメンタリータッチで描いてゆく。私はそこには行っていない。


「そうだったのか」


50年後の私は、試写の後、そううなずいた。


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