2014年05月01日 13:00 〜 14:00 10階ホール
「すべての子どもに家庭を!」―HRW東京初の日本についての報告書発表 記者会見

会見メモ

国際NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が児童養護施設などに入所中の日本の子どもら約200人に聞き取り調査を行った。HRWの土井香苗日本代表、猿田佐世弁護士、児童施設で過ごした経験をもつイラン出身の女優のサヘル・ローズさんが同報告書の概要について話し、質問に答えた。

司会 杉尾秀哉 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

「養護必要な子」の85%が施設 日本的な要因を訴える

松下 秀雄 (朝日新聞編集委員)

実の親による虐待などで、児童養護施設や里親のもとで暮らす、子どもの「社会的養護」。日本の実態は「各国と比べて著しく劣る」(土井香苗代表)のだという。当事者ら200人以上の話をもとに報告書をまとめ、記者会見で公表した。


日本では、社会的養護を受ける約4万人のうち85%が施設に入所している。里親や養子が当たり前の他の先進国とは対照的だ。


施設で育った若者の話が紹介された。就職にも家を借りるにも保証人が要るのに当てがない。車の免許もない。ホームレスとの境を行ったり来たり。若者は猿田さんに「楽しそうですね。僕の人生は1日が長くて終わらない」と話したという。


なぜ施設に偏るのか。一因は、日本では親の権利が子の利益より優先されることだという。児童相談所が実親の意向を確認すると「里親はいや。施設なら会いにいける」といい、それが通る。


社会や大人の問題が凝縮した形で子どもたちにのしかかっている。考えさせられる会見だった。


ゲスト / Guest

  • 土井香苗・HRW日本代表、猿田佐世・弁護士、サヘル・ローズさん

研究テーマ:「すべての子どもに家庭を!」―HRW東京初の日本についての報告書発表

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