会見リポート
2014年04月15日
13:00 〜 14:15
宴会場(9階)
研究会「ドイツを中心にした欧州難民政策」マイケル・リンデンバウアー国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表
会見メモ
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のリンデンバウアー駐日代表が欧州の難民政策について、以下の3点から説明した。
①UNHCRの活動の現状と課題
②欧州の現状、共通欧州庇護制度(CEAS)の創立に向けた動き
③ドイツの難民・移民政策の変遷
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
世界で競うチャンス ドイツが移民・難民受け入れ政策
杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)
ドイツは日本と似ている。かつての全体主義、敗戦、そしていまは経済大国でありながら軍事面で消極的―。そのドイツが日本と異なるのは移民・難民受け入れに積極的なことだ。UNHCRの各国事務所で30年間働いてきた経験を基に、「なぜドイツが」に答えてくれた。
誇り高いドイツ民族は、かつて移民に否定的だった。だが実は60年代、イタリアやトルコからの短期滞在型の労働者を入国させ、労働力不足を補うことで、その後のすさまじい経済成長を達成した。
この経験から、ドイツ人は「移民はチャンス。富と多様性をもたらす。世界で競争するには、移民は必要」という考えに変わったという。紛争が続くシリアからの難民も昨年だけで1万人受け入れた。シリア人難民のほとんどは中東諸国が受け入れており、ドイツの1万人は西欧諸国では破格に多い。
もちろん移民排斥主義者はドイツにもいる。だが、ここ数回の総選挙では移民排斥を掲げる政党は敗北、その後消滅しており、「反移民ではドイツの主要政党になり得ない」。欧州には移民・難民を拒否する国もある。このため、欧州共通庇護制度をつくる動きも始まったという。
ゲスト / Guest
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マイケル・リンデンバウアー / Michael Lindenbauer
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表 / Representative of the UNHCR Tokyo Office
研究テーマ:ドイツを中心にした欧州難民政策