2013年12月16日 17:00 〜 18:00 10階ホール
メルバト・タラウィ エジプト憲法改正委員会委員 記者会見

会見メモ

エジプトの憲法改正委員会委員を務めたメルバト・タラウィ元駐日大使が、今月初旬にまとまった改正案の特徴や行程表について説明した。

司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)
通訳 澄田美都子(サイマルインターナショナル)


会見リポート

変化の方向性を語る

脇 祐三 (企画委員 日本経済新聞コラムニスト)

タラウィさんは1月の国民投票にかける新しい憲法を中心に。ファハミ外相は外交政策について。駐日大使を経験した2人が、それぞれエジプトの変化の方向性を語った。


外国メディアの報道に困惑している。モルシ政権排除は人民による革命であり、軍のクーデターではない――。タラウィさんは開口一番こう訴えた。新憲法の前文の「市民的な政府を持つ民主的で近代的な国家の建設」という表現は、国民が宗教イデオロギーに基づく政権も、軍事政権も望まないことを明示するものだという。


新憲法には女性、キリスト教徒、身体障害者などの権利擁護を盛り込む。婦人組織の代表も務めるタラウィさんは「これまでの憲法にはなかった」と強調し、地方議会の議席の4分の1を女性に割り当てるなどの具体例を示した。


ファハミ外相はまず、「2年半の間の2つの『革命』を経て、国民は誇りを取り戻した」と指摘した。その結果、中東・アフリカ地域でのリーダーシップや、特定の大国に依存しない自由な政策選択への期待が高まっているという。米国との関係がきしみ、ロシア、中国などへの接近が目立つが、これは「友人を替えるのではない」「より多くの友人を持ちたいという積極的な努力だ」と説明した。


シリアへの対応では、引き続き反体制勢力を支持しつつ、政治解決を求める。「宗派的なジハードは支持しない」「国の一体性の保持が重要」と強調した。


国民は性急に結果を求め、外交でも具体的な成果が問われる。内政は微妙な状況にあり、「外交も街頭の人々の心情から遊離してはいけない」。外相は移行期の政治の難しさを語りつつ、「国家の戦略的利益が重要だから、対外関係が国民の感情に左右されるわけではない」と懸念の払拭にも努めていた。


(この会見リポートは12月19日実施のナビル・ファハミ エジプト外相記者会見との統合版です)


ゲスト / Guest

  • メルバト・タラウィ / Mervat Tallawy

    エジプト / Egypt

    憲法改正委員会委員 / Member of the Committee of drafting the new constitution of Egypt

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