2013年09月17日 15:00 〜 16:00 10階ホール  
上田清司 埼玉県知事 記者会見

会見メモ

埼玉県の上田清司知事が会見し、「成功モデルで日本を元気に~埼玉からの政策発信~」と題して話した。重要犯罪検挙率の向上など治安状況の改善や高校中退率の減少など具体的な事例を示しながら、行政に成果主義を取り入れたことが成功要因だとした。

司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)

埼玉県の「知事の部屋」ウェブサイト

http://www.pref.saitama.lg.jp/room/


会見リポート

軽トラ1杯分の資料の山より 1枚の一覧表

若杉 敏也 (日本経済新聞産業地域研究所)

埼玉県知事に就任してから10年が経過したのを機に、県政への取り組みについて語った。「成功モデルで日本を元気に」という表題を掲げ、これまで実践してきた政策の成果をアピール。自信にあふれた語り口が印象的な会見となった。


披露した成功モデルの1つが教育改革だ。埼玉県はかつて高校中退率の高さが際立っていた。知事就任の翌年(04年)は比率が2・5%で、47都道府県の中では2・9%の大阪府に次ぐワースト2に位置していた。そこで、学びの意欲を喚起するため公立高校で就労体験活動や社会貢献活動などを積極的に導入した。


結果として高校中退率は11年に1・6%まで改善。順位も15位上がり31番目につけた。公立中学校の不登校問題に関しても、対策を講じてから徐々に解消。不登校比率は47都道府県中のワースト8から、5年間で良い方から10番目へと大幅にランクアップできた。


短期間で劇的な成果を挙げた秘密は何か?「私の就任前は(担当部局が)不登校対策の資料を山ほど作っていた。軽トラック1杯分くらい作ったんじゃないでしょうか」と上田氏は振り返る。それでもめぼしい成果はなかった。


「そこで、私がやったことは、この資料を1枚作っただけです」


知事は資料を、会見の演台で広げて見せた。状況が悪かった時の埼玉県内全市町村の不登校率の数字を、他都道府県と比較できる一覧表である。これを全市町村の教育長と教育委員長に配らせたところ、翌年から数字が向上した。


犯罪防止や環境保全の施策でも、事実をデータで示して状況改善につなげた。成功のポイントは「(担当者が)まず、自分の位置を知ること」だと言う。公務員はチャレンジする意欲を持ちにくい。いかに職員に競争意識を持たせるかが、自治体トップに求められる重要な資質だと上田氏は説いた。


ゲスト / Guest

  • 上田清司 / Kiyoshi Ueda

    日本 / Japan

    埼玉県知事 / Governor of Saitama Prefecture

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