2013年08月19日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
清家篤 社会保障制度改革国民会議会長 記者会見

会見メモ

社会保障制度改革国民会議の清家篤会長(慶応義塾長)が、同会議が8月5日にまとめた最終報告書について主要点を説明した。報告書は消費税増税を前提に書かれており、将来世代に確かな社会安全保障を維持していくために、高齢者にも支払い能力に応じた負担を求めていくことが必要であると語った。

司会 日本記者クラブ企画委員 竹田忠(NHK)

社会保障制度改革国民会議のウェブサイト

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/

会見リポート

確かな社会保障 将来世代に伝えるために

竹田 忠 (NHK解説委員)

社会保障改革を政争の具にしないための、公正中立な有識者会議。その実現がいかに難しいかを示したのが、社会保障制度改革国民会議だ。


会議は20回に及ぶ議論の末、報告書をまとめた。少子高齢化が進む中、社会保障を維持するためには、年齢ではなく能力に応じた負担が必要だとして、高齢者にも所得に応じた負担増を求めている。総論のメッセージは明確だ。しかし、具体論となると、小手先の負担増ばかりが並ぶ。


負担する当事者にとっては大変な話だが、毎年1兆円ずつ増えていく社会保障の見直しにはとても足りない。実は、5%の消費増税は、焼け石に水。本当に必要なのは、社会保障制度の抜本改革だ。


なぜ、その議論ができないのか? もともと一体改革と言いながら、消費増税だけを先行させるために、民・自・公の政治的な思惑で作られた国民会議。政権交代以降、会議は時に、政治の代理戦争の様相を呈する場面さえあった。制度の根幹を議論する余裕などなく、役所が用意する目先の課題を議論するしかなかった。


質疑応答では、そこを突く質問が出た。清家会長はこれまで、年金の支給開始年齢の再引き上げの必要性に言及するなど、年金制度の将来に一定の懸念を示してきた。しかし、報告書では、再引き上げは中長期的な課題だとして、事実上棚上げされている。


この点について聞かれた会長は、自分自身が個人として抱く問題意識と報告書との距離について、何度も何度も説明を繰り返し、会長としての責任と、学者としての使命とを懸命に、誠実に果たそうとする姿が印象的だった。


本当の一体改革は、これから。次回は、ぜひ〝ポスト〟国民会議の会長として、抜本改革について話す清家さんにお会いしたい。


ゲスト / Guest

  • 清家篤 / Seike Atsushi

    日本 / Japan

    社会保障制度改革国民会議会長 / the Chairman of the National Council on Social Security System Reform and President of Keio University.

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