2013年04月22日 11:00 〜 12:00 10階ホール
ロールバックマラリア(マラリア撃退)運動 記者会見

会見メモ

ロールバック・マラリア・パートナーシップ(RBM)は、マラリアとの闘いをグロバールに対応していくために、WHO、ユニセフ、国連開発計画、世界銀行によって、1988年に設立された。RBMの特別代表を務めるベルギーのアストリッド王女妃殿下とナフォ=トラオレ事務局長が会見し、マラリアの死亡率が減少する中、逆戻りしないように財政支援と政治的なコミットメントの継続を国際社会に要請した。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)

ロールバック・マラリアのウェブサイト(英文)

http://www.rbm.who.int/


会見リポート

マラリア対策 立ち止まっている暇はない

田中寛 (共同通信外信部)

ロールバック・マラリア・パートナーシップは、1998年に世界保健機関(WHO)や国連児童基金(UNICEF)などが立ち上げたマラリア撲滅のための世界的な枠組みだ。
「(マラリア対策に)金銭的、政治的な投資を続けなければ、これまでの成功が台無しになる」。特別代表のベルギーのアストリッド王女が記者会見で一層の支援を呼び掛けた。
マラリア対策は成果を生み出している。2000年からの10年間で、世界のマラリアによる死者は約25%減少した。日本も近年、アフリカ支援として保健衛生分野に着目し、エイズやマラリアなどの感染症対策に力を注いできた。王女はこうした貢献に謝意を表明しつつ、世界的な経済危機で厳しい時代にあっても、先進国は支援を減らしてはいけないと訴える。年間のマラリア対策に必要な資金50億米ドルのうち、30億米ドルが不足しているという。
新たな脅威にも直面している。東南アジアのメコン川流域で、マラリアの特効薬「アルテミシニン」への耐性を持つマラリア原虫が出現。トラオレ事務局長は「新薬開発に向けた研究が必要だ」と強調した。被害の大きなアフリカに広がれば、甚大な影響を及ぼしかねない事態だ。
近年、豊富な資源と人口増を背景に成長を続け、日本企業からも注目を集めているアフリカ。6月に横浜市で開かれるアフリカ開発会議(TICAD)でも投資や貿易の議論が多くを占めそうだ。しかし、蚊帳一つないため、蚊に刺されただけで命を失っていく子どもたちが、今なお毎年何十万人もいるという事実も同時に忘れてはならない。4月25日の世界マラリア・デーを前に、そう考えさせられた会見だった。

ゲスト / Guest

  • ロールバックマラリア(マラリア撃退)運動 / Roll Back Malaria Partnership (RBM)

ページのTOPへ