2013年03月29日 12:00 〜 13:30 10階ホール
昼食会 斉藤惇・日本取引所グループCEO

会見メモ

斉藤惇・日本取引所グループ(JPX)最高経営責任者が、最近の株式市場とJPXの中期経営計画について話した。昨年11月14日に国会解散が決まって以降これまでに株価は40%上昇した。アベノミクスのクイックなリズム感に市場は反応がよい。決められる政治になってきたとの効果が一番大きいと思う、と。ただし、世界の動向からみれば、NYダウが史上最高値を更新しているのと異なり、株価は現在12,500円ほどで、2000年のITバブルピークの6割に留まっている、とも。株価のこんごの推移についての質問に対しては、TPP交渉参加や原発を含む日本のエネルギー政策に、安倍政権がどれだけ現実的に対応していくかにかかっている、とした。現実的であれば、前向きに進んでいくのではないか、と。

司会 日本記者クラブ企画委員 実哲也(日経新聞)

日本取引所グループのホームページ

http://www.jpx.co.jp/


会見リポート

再編加速 世界の取引所 日本市場の強みは「質の高さ」

戸田 敬久 (日本経済新聞証券部)

「アジアで最も選ばれる取引所を目指す」──。東京証券取引所グループと大阪証券取引所が1月に経営統合して発足した日本取引所グループ。長年のライバル関係だった東証と大証が手を組んだ理由は、バブル期に世界を席巻した日本市場は、もはやアジアでも圧倒的な存在ではないとの現実があるからだ。

上場企業としての日本取引所の時価総額は5千億円弱。アジアで資本市場の覇権を争う香港取引所、シンガポール証券取引所を大きく下回る。国境をまたいだ取引所のM&Aがあるとすれば、時価総額で劣る日本取引所は買収される側だ。中期経営計画で「アジアのトップを目指す」と断言できない歯切れの悪さの一因はここにある。

世界では取引所の再編が進んでいる。日本取引所が発足する直前の昨年末、エネルギー関連のデリバティブ取引に強みがある米インターコンチネンタル取引所が、ニューヨーク証券取引所を傘下に抱えるNYSEユーロネクストを買収すると発表。新興の取引所が老舗を飲み込む買収劇に衝撃が走った。

アジアのライバルに対抗できる日本取引所の強みは何か。斉藤惇CEOが強調するのは、長年の伝統に裏付けられた「日本市場の質の高さ」だ。米国市場に上場する中国企業が粉飾問題で揺れる一方、「投資対象として日本企業の評価が高まった」と指摘する。アジア各地で積極的に事業展開する日本企業の株式に投資すれば、結果的にアジアの成長を取り込める。世界の投資家から「最も選ばれる取引所」になり得るとの算段だ。

日本取引所では、情報発信力の強化や取引の利便性の向上を進め、世界に向けて日本株の魅力を高める戦略を打ち出した。「アベノミクス」による円安・株高の追い風をどう生かすのか。日本取引所を率いる斉藤CEOの手腕に注目が集まっている。


ゲスト / Guest

  • 斉藤惇 / Atsushi Saito

    日本 / Japan

    日本取引所グループCEO / CEO, Japan Exchange Group, Inc.

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