2013年03月08日 16:00 〜 17:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」事故調フォローアップ有識者会議 報告書発表

会見メモ

Koichi KITAZAWA,

事故調フォロアップ有識者会議の北澤宏一座長が、3月6日に公表した報告書について説明した。有識者会議は、東電福島第一原発事故で国会や政府の事故調査委員会がまとめた提言を、政府がどのように受けとめ、対処してきてかを確認するために昨年11月に設置された。原子力規制委員会について重点的に議論をした。委員会が国際的なレベルでピア・レビュー(専門家からの評価)に耐えられるような仕事をしているかを早期に示す必要がある、とした。この報告書は6月に最終とりまとめを行い、国会に報告する、とも。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

事故調フォローアップ有識者会議のウェブサイト

http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/intellectual_meeting/first_intellectual_top.html



会見リポート

新しい原子力規制体制に肯定的

大牟田 透 (朝日新聞論説委員)

私事で恐縮だが、東日本大震災直後の一昨年6月から今年1月まで報道の現場を離れていた。北澤さんが委員長を務めた民間事故調の活動もメディアを通して知るだけだった。

民間事故調はどの程度のものだったのだろう。そう思って臨んだ記者会見の冒頭、北澤さんは東京電力福島第一原発について「何とか小康状態を保っている」と語った。私は評価を上げた。直前に原発構内を取材した実感と合致し、本質を押さえていると感じたからだ。

北澤さんは現在、内閣官房に設けられた事故調フォローアップ有識者会議(これで略称!)の座長だ。国会事故調と政府事故調が残した提言のうち政府向けのものについて、政府の施策、とりわけ原子力規制委員会の活動にきちんと生かされているかを点検し、毎年国会に報告する。

この日はその有識者会議の報告書発表に伴う会見だった。ただ、原子力安全の規制体制が変わって日が浅く評価材料が少ないうえ、有識者会議で出た指摘を幅広く並べたため、魅力的な報告書とはいえなかった。

北澤さん個人は新しい規制体制に肯定的だった。「原子力安全委員会は影が薄かったが、規制委員は一人一人が大きな責任を負う」「3人以上の会合は議事録を残すなど、情報公開が徹底された」「既存原発にも最新の安全基準に沿った対応を求めるバックフィットが義務づけられた」などと語った。

「国際水準」にはこだわった。「日本は規制組織が国際的なレベルからかけ離れていた」「規制庁は職員を海外へ派遣し、国際的に信頼される人材を育てなければ」という。

脱原発の行方については「原発ゼロかどうかは国民が決めること。欧州は30年悩み、再生可能エネルギーを含むベストミックスをつくってきた」。長期的な視程の先に楽観を感じさせた。


ゲスト / Guest

  • 北澤宏一 / Koichi KITAZAWA

    日本 / Japan

    事故調フォローアップ有識者会議座長

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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