2013年02月28日 09:45 〜 10:30 宴会場(9階)
エリアソン 国連副事務総長 記者会見

会見メモ

中国、韓国を訪問後来日した、国連のヤン・エリアソン国連副事務総長が「東アジア情勢と国連」のテーマで話した。北朝鮮の核開発については、「核不拡散体制と安保理決議への違反で、反感は国際的な広がりをもつ。事態をエスカレートさせないためには、安保理の活動に加え、日本や韓国など個々の国の影響力も行使してほしい」と語った。この地域の海洋上の問題は、冷静に自制し、対話を通じた解決を図ってほしいと思っている。すべての当事国から調停要請があれば、国連はその役割をになう。現状は国家間で解決する問題だ、とした。

司会 中井良則 日本記者クラブ専務理事

通訳 長井鞠子 (サイマル・インターナショナル)

日本記者クラブのページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2013/01/r00025282/


会見リポート

国連の低迷「悲しく不満も感じる」

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員)

冷戦終結に向けて世界が動いた1980年代末から15年ほどは国連がイラン・イラク戦争やカンボジア紛争、旧ユーゴスラビア紛争など、国際紛争の最前線に立って和平に尽くした。国連や国連難民高等弁務官(UNHCR)、国連平和維持軍はノーベル平和賞も受賞した。

だが、今はシリア、マリなど、世界注視の国際紛争に国連の関与が見えない。イランや北朝鮮の核問題でも、国連から出てくる反応は安保理の制裁強化だけだ。来日した国連ナンバー2のヤン・エリアソン副事務総長の記者会見では「なぜ国連は役割を果たせないのか」に質問が集中した。

エリアソン氏は「常任理事国の一致した支持と紛争当事者の国連への要請がない。悲しく不満も感じる。国連安保理は世界の平和の維持に責任をもつことを認識してほしい」と述べた。

スウェーデンの外交官であるエリアソン氏自身、国連のイラン・イラク戦争調停団やバルカン諸国での人道援助、ダルフールでの活動などに携わってきただけに、最近の国連の低迷は残念でならないようだ。

例えば、シリア内戦。毎日市民の犠牲が世界で報じられる。だが、米国とロシアの対立から国連安保理はアサド政権交代の道筋をつける決議を採択できない。アナン前事務総長が昨夏、安保理内の「非難合戦」を理由にシリア問題担当特使を辞任したのは記憶に新しい。

「安保理の全面的な支持を受けて、国連が活動すれば、シリアの政権交代は実現し、和平が訪れる」と言う。

北朝鮮の核問題では北朝鮮はもちろん国連安保理からも国連への介入要請はない。「国連の活動は人道援助だけ」だ。だが、6カ国協議は4年以上開かれず、北朝鮮は核ミサイル能力を向上させた。

国連が受け身とならざるを得ないのは分かる。だが国連側に工夫の余地はないのだろうか。次はじっくり聞いてみたい。


ゲスト / Guest

  • ヤン・エリアソン / Jan Eliasson

    国連 / UN

    副事務総長 / Deputy Secretary-General

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