2012年12月19日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「衆院選後の日本-民意をどう読むか」① 松本正生 埼玉大学教授

会見メモ

12月16日に行われた衆院選について考える研究会「衆議院選挙後の日本―民意をどう読むか」で、松本正生・埼玉大学教授が、最低投票率の要因や、選挙制度の課題、世論調査と予測報道の影響などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 川戸恵子(TBSテレビ)

松本教授のページ(埼玉大学HP)

http://sucra-rd.saitama-u.ac.jp/search/profile.do?lng=ja&id=HNDaHeyC


会見リポート

衆院選 低投票率は冷静さのあらわれ

大石 格 (日本経済新聞編集委員)

よくある話でないから聞く価値があるのだろう。60%を割った衆院選の投票率を民主主義の危機ではなく、「ミニマム水準を充足している」と評する人はあまりいない。


棄権する人イコール政治に無関心な層という常識にも反論。政治の混迷で「政治に関心のある人ほど決められなかった。低投票率は冷静さのあらわれ」との分析を披瀝した。


証拠として挙げたのが200万超の無効票の存在だ。投票箱を前にしてなお誰に投票するかを決められなかったのだから、投票所に行く気がありながら行くに至らなかった人も相当いたはずだという理屈だ。


若い人は投票に行かない、というのも誤りだそうだ。今回の衆院選に限らずここ数年の選挙では20歳代の投票率はあまり変わっていないのに60歳代など中高年層での落ち込みが顕著だそうだ。


かつて投票率が高かった「田舎」ほど高齢化の加速で地縁・血縁が薄くなり、無党派層が増えた。政治に関心はあるが、どの政党に投票するかは決めていない「そのつど支持」が有権者の7割に達する。こうした分析が正しければ、政党の選挙対策も変わらざるを得ないだろう。


予想を上回る自公の圧勝と民主の大敗をどうみるか。小選挙区制は変化を嫌う日本人には不向きではないかとの見方も一蹴した。過激な変動があることで、1つの政治テーマだけを争う「専権事項解散」を防ぐ効果があるという。


議席の振れ幅が大きいと落選者がたくさん出る。政治家が当選回数を重ねながら成長していくことができない、との指摘に関しても「政治家になる人をどうやってリクルートするかは別次元の課題」と割り切ってみせた。「制度改革すればすべて解決するとの過度の期待を抱くのは禁物だ」との主張はうなずける。


ゲスト / Guest

  • 松本正生 / Masao Matsumoto

    日本 / Japan

    埼玉大学教授 / Professor, SAITAMA University

研究テーマ:衆院選後の日本-民意をどう読むか

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