2012年11月16日 10:30 〜 12:00 10階ホール
研究会「権力移行期の世界 10 米国」 渡部恒雄 東京財団上席研究員

会見メモ

オバマ米大統領が再選した背景やアメリカ外交の今後などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

東京財団の渡部氏のページ

http://www.tkfd.or.jp/people/detail.php?id=47


会見リポート

「弱き者」の声理解する政権

津屋 尚 (NHK解説委員)

オバマ大統領が再選を決めたアメリカ大統領選挙。この選挙結果から何が読みとれるか。

渡部恒雄氏は、ミシェル夫人が水道局の技師だった父親について語った党大会での演説を紹介。「オバマは庶民のプライドと苦悩を深く理解している」という夫人のメッセージが有権者の間に広がったと指摘した。今回の選挙では、ヒスパニック系の71%、アジア系の73%、そして女性の過半数の55%がオバマ氏に投票したという。

アメリカはヒスパニック系の市民や低所得者層などマイノリティーが確実に増えている。オバマ陣営はその意味を理解し、そうした人々の支持をつかんだのに対して、共和党は理解が足りなかった。ロムニー候補は、アメリカ国民の47%を占める非納税者、つまり低所得のマイノリティーを切り捨てるような失言をしてしまった。

渡部氏がもうひとつ注目したのは、社会における女性パワーだ。渡部氏は「オバマ政権は女性に支持された政権であり、アメリカ全体としても女性の影響力は強まっていく」と分析した。議会の選挙では、ハワイの日系女性を含め20人の女性上院議員が誕生。ミズーリ州では、共和党の有力男性候補が、女性の妊娠中絶について「本当のレイプなら妊娠しない」と問題発言をし、民主党の女性候補に敗れている。

渡部氏はまた、今回の選挙は、ロムニーが主張した「小さな政府」とオバマが唱えた「スマートな政府(大きな政府)」の選択でもあったとも指摘した。それは経済的な側面というよりも、政府の関与が増すことを是とするか否かというイデオロギーに関わる問題なのだという。

ひるがえって日本。まもなく総選挙が行われる。果たして「弱き者」の声を理解する政権は誕生するのだろうか。

ゲスト / Guest

  • 渡部恒雄 / Tsuneo Watanabe

    日本 / Japan

    東京財団上席研究員 / Senior Research Fellow, The Tokyo Foundation

研究テーマ:権力移行期の世界

研究会回数:0

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