2012年08月01日 14:00 〜 15:30 10階ホール
唐池恒二 JR九州社長 記者会見

会見メモ

唐池恒二・JR九州社長が会見し、九州北部豪雨の被害状況や、来年10月から運航予定のクルーズトレイン「ななつ星in九州」などについて話し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 宮田一雄(産経新聞)

会見で使用したパワーポイントのデータ(PDF版)

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/08/f62923f05f5ed56911f673d28ebfa01b.pdf

JR九州のホームページ

http://www.jrkyushu.co.jp/


会見リポート

ななつ星に地域振興をのせて

紙谷 樹 (日日本経済新聞産業地域研究所主任研究員)

明るい話題だった。JR九州が来年10月から走らせるクルージングトレイン「ななつ星in九州」について唐池恒二社長が説明した。ダイニングカーとサロンカー、5両の客車はスイートだけで全14室。ラウンジではピアノも演奏される。九州周遊の3泊4日コースは年間50本。「乗客数は年間1400人、費用は1人38~55万円」だとしても収益は大きくはない。それでも大きな期待が集まるのは地域振興に大きくかかわるからだ。


JR九州は発足直後から、博多と由布院、別府を結ぶ特急「ゆふいんの森」をはじめ、「あそぼーい」「はやとの風」「海幸山幸」など多くの観光列車を走らせてきた。日韓高速船「ビートル」や外食(フードサービス)子会社で手腕を発揮してきた唐池社長は「現在運転中の観光列車9本のうち、SL人吉号以外はすべて自分で名付けた」と明かした。


ゆふいんの森の乗車率は年間70~80%、竜宮伝説をもとに走らせた「指宿のたまて箱」は1日3往復しても86%という「驚異的な」実績。「物語に基づいて観光列車を走らせると地元の人が育ててくれる。乗車を目的に旅する人も多い」と話す。


豪華列車構想を事前に周囲に話したところ、耳ざとい首長らが訪れ誘致を働き掛けたという。


「ななつ星の乗車定員は少ないが、ブランドとして確立すれば、それが九州全体のブランド力になる」と強調する。アジアからの観光客と東日本を中心とした国内の中高年層に売り込む意向だ。


記者会見の冒頭、7月の豪雨による被災状況と復旧見通しを語った。「鉄道開通以来みたことがない」と驚く豊肥本線のトンネル崩落などの被害は、復旧に1年以上かかる見込み。ななつ星も運転経路など修正を迫られそうだが、1日も早い復旧と豪華列車の旅立ちを祈念したい。



ゲスト / Guest

  • 唐池恒二 / Koji KARAIKE

    日本 / Japan

    JR九州社長 / President, Kyushu Railway Company

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