2012年06月20日 15:00 〜 16:30 宴会場(9階)
研究会「TPP」⑨本間正義・東京大学大学院教授

会見メモ

日本記者クラブ主催の研究会「TPP」⑨で、本間正義・東京大学大学院教授が、TPP問題と日本農業の再生について話し、記者の質問に答えた。

司会 村田泰夫 日本記者クラブ企画委員

使用した資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2012/06/574b1581db435954c177a034526c5cd7.pdf


会見リポート

TPP参加で農業改革を推進

村田 泰夫 (企画委員 朝日新聞出身)

TPP(環太平洋経済連携協定)に農業界は強く抵抗するが、農業経済学を専門とする本間教授は推進派の立場にある。


本間教授は、第1に「日本はTPPに入らない覚悟を本当にできるのか」と問う。好むと好まざるとにかかわらず、いまやグローバル化から避けるわけにはいかない。国際経済のネットワークの外におかれてしまう国は、ガラパゴス化してしまう。それは、経済活動の縮小を招き、豊かさを失うことを意味する。


第2に、日本農業が壊滅することはないという。TPPに参加すれば、日本農業は当然影響を受ける。しかし、関税の即時撤廃は「原則」であって、例外が設けられるであろうし、撤廃までに数年の猶予も与えられる。対応の余地はある。関税の低い野菜など一部の農業は、現状でも「オランダ型農業」を確立し、国際競争に打ち勝つ体質に育っている。


第3に、市場開放は、規模拡大など日本農業の構造改革に取り組むチャンスになる。価格競争力のないといわれる稲作でも、大規模経営にすれば海外産米と十分対抗できる。企業の農業参入を認めるとか、特区で異業種とのコラボレーションを進めるとかすれば、付加価値の高い農産物や食料の生産が可能になる。


農協などは、TPP参加を阻止し日本農業を守れと主張している。「それは甘い」と教授はいう。「TPPに参加しなければ、日本農業はゆでカエル状態で衰退するだけだ」


多くの質問が出て、活発な研究会になった。大規模化を目指せというが、日本は平地が少なく無理では? 「すべて、そうせよといっていない。大規模な食糧基地農業、資本集約的なオランダ型農業以外にも、農的生活に生きがいを求めるサービス農業もあっていい」。やはり、市場開放と国内農業の両立がかぎを握る。



ゲスト / Guest

  • 本間正義 / Masayoshi Honma

    日本 / Japan

    東京大学大学院教授 / Professor, The University of Tokyo

研究テーマ:TPP

研究会回数:0

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