2012年05月24日 11:00 〜 12:30 10階ホール
著者と語る『Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学』ケン・シーガル 広告クリエイティブ・ディレクター

会見メモ

iMacをはじめとする”i”シリーズを生み出したケン・シーガル氏は、アップルがこだわる「シンプル」の哲学について話し、質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


NHK出版のページ

https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00815452012


会見リポート

アップル 成功の秘訣はシンプルさ

飯田 香織 (NHK「Bizプラス」キャスター)

分かっちゃいるけど、できない。「物事はシンプルに」と訴えるクリエイティブ・ディレクターのケン・シーガルの話を聞きながら思った。シーガルはアップルのスティーブ・ジョブズのもとで「Think Different」キャンペーン(アインシュタインの映像をバックに「クレイジーな人たちがいる」で始まる1997年の広告)を手掛け、iMacの名付け親でもある。12年間ジョブズのメッセージを伝える広告を出したシーガル。たどり着いたアップルの経営哲学は、シンプルであること。「アップルでは製品も組織もすべてシンプルだ。それに対して他社では何もかも複雑だ」とアップルの成功の秘訣を説明した。


では、シンプルって何? シーガルによると、消費者にとって使いやすく、機能が分かりやすい製品。そして、それを支えるのは、無駄の少ない組織。大企業になるととかく、人数ばかり多い無駄な会議が多くなり、「これって不要では?」と思っても、みな言い出せない。そんな会議がいくつも重なると、結論が先送りされ時間が浪費されたあげく、あれもこれも盛り込むことになり、たいへん複雑な製品が誕生してしまう、という。製品に限らず、政策でも、原稿や番組でも同じではないだろうか。

 

ジョブズが亡くなった2週間後に行われた追悼式。シーガルによると「パパが一番好きだった詩」として、10歳の末娘が「クレイジーな人たちがいる」と朗読を始めたという。そして帰り際には、「ジョブズからの贈り物」として、全員「あるヨギの自叙伝」を手渡されたそうだ。シーガルは、ジョブズが「シンプル」に行き着いたのは、この仏教の思想もあったのではないか、と分析していた。


物事をシンプルに説明するにはどうしたら良いか。日ごろから七転八倒しているだけに、シーガルの話には説得力があった。



ゲスト / Guest

  • ケン・シーガル / Ken Segall

    広告クリエイティブ・ディレクター / Creative Director

研究テーマ:著者と語る『Think Simple アップルを生み出す熱狂的哲学』(NHK出版 5.25)

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