2012年05月29日 14:30 〜 15:30 宴会場(9階)
カズン WFP事務局長 記者会見

会見メモ

4月にWFPの事務局長に就任したカズン氏が、世界の飢餓状況や食料・栄養の安全保障問題などについて話し、記者の質問に答えた。


司会 宮田一雄 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)

通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル


WFP東京事務所のホームページ

http://www.wfp.or.jp/index.php


会見リポート

人道的食料援助 アクセスが問題

釣賀有紀恵 (時事通信社外国経済部)

4月の就任後の初来日。昨年の東日本大震災にも関わらず日本政府と国民がWFPへの支援を続けたことへの深い感謝をまず表明した。WFPは100%任意拠出と募金で活動しており、資金は常に最重要だ。


世界の飢餓人口は2009年に10億人を突破、その後はやや下がったが9~10億人で推移する。「世界人口が消費できる以上のカロリーを生産しているのに、これは決してあるべき数ではない」と強調する。WFPは約1億人を支援している。


内戦状態にあるシリアでは約100万人が脅威にさらされていると推計される。WFPは4月時点で25万人に食料を供与、5月にはパートナーと組み50万人を目標とした。「紛争は拡大するばかり。トラックが爆破されて職員2人が負傷した」が「機会があれば必ず支援を提供する」方針だ。


北朝鮮については、食料が援助を必要とする人にだけ渡ることを確認するためのサポートも同国政府に求めていると語った。2月の米朝合意で食料支援が決まり「状況が好転しそうだったのに(ミサイル発射で)ストップしてしまった」と残念がる。中国などの2国間援助も、WFPの支援も数年間でかなり縮小している。昨年の飢饉を受けて緊急援助が始まったが、6月に終了し従来の長期計画に戻ることを余儀なくされる。その後も緊急援助時の特別な条件を継続するよう交渉中だという。


「われわれは人道的な食料援助を行う世界最大の機関。政治はやらない」と強調する。政治紛争に関係なく、子ども一人たりとも飢餓に苦しまない世の中にすることが目標だ。


そのため常に問題になるのはアクセス。「『アフリカの角』地域では昨年、ケニアとエチオピアでセーフティーネットを構築することができ子どもは死ななかったが、ソマリアはアクセスがなかったため、子どもたちが死んでしまった」と語った。



ゲスト / Guest

  • アーサリン・カズン / Ertharin Cousin

    国連世界食糧計画 / WFP

    事務局長 / Executive Director

ページのTOPへ