2012年05月11日 12:45 〜 13:45 10階ホール
ギスケ ノルウェー貿易産業相 記者会見

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

ノルウェー大使館のホームページ

http://www.norway.or.jp/


会見リポート

アジアとの経済関係強化を目指す

平田 育夫 (日本経済新聞コラムニスト)

国土面積は日本とほぼ同じで、人口は北海道をやや下回る程度だが、1人当たりの国内総生産(GDP)は世界最高クラスと豊か。そんなノルウェーがアジア・太平洋地域との経済関係の強化に熱心だ。


トロン・ギスケ貿易・産業相(45)は来日し、日本との経済連携協定(EPA)の交渉入りを目指し、枝野経産相らと会談した。「我が国は石油・ガス資源に富むだけでなく、エネルギー資源や漁業、海洋開発などに関連した技術やサービスにも強みがあり、

経済連携は両国の雇用増大などに効果がある」と訴える。


輸出の70%以上が欧州向け。その欧州が経済危機とあって、成長著しいアジア太平洋地域に目が向く。「シンガポール、香港、韓国とはFTA(自由貿易協定)を締結済みで、ロシア、中国、インドネシア、タイなどと交渉中」という。


この国は大陸欧州諸国と関係が深いのに、国民投票で欧州連合(EU)への加盟を見送った。今となっては余計な荷を負わず正解とも言える。地域圏に依存せず広く世界を相手にしようという人口小国の知恵がみてとれる。


日本側はEPA交渉にまだ前向きの返事をしていないが、原発停止で石油・ガスの需要が高まることもあり、検討すべき事項か。ギスケ大臣は「日本が農業を保護したいなら応じられる」と熱意のほどを見せていた。


高福祉にして強い経済。その秘訣について「高い生産性を目指し、様々な政策をとっている」。女性の労働参加を高めるため幼稚園の整備にもカネをかけ、公教育も大学まで無料だそうだ。それに加え、海外との経済交流に活路を見いだそうというオープンな発想が強さの背景にあるのだろう。


世界的な景気停滞下でも3%成長が見込まれ、失業率も3%台と低いこの国に、したたかな「北欧の知恵」をみる思いだ。



ゲスト / Guest

  • トロン・ギスケ / Trond Giske

    ノルウェー / Norway

    貿易産業相 / Minister of Trade and Industry

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