2012年03月28日 16:00 〜 17:30 10階ホール
インドネシア人介護福祉士 国家試験合格者

会見メモ

登壇者 右から

ワヒューディン 介護老人保健施設ジャンボ緑風会(徳島県海部群)

サエラン・アスリ・フジアンティ 特別養護老人ホームサンライフ彦坂(岐阜県岐阜市)

柴山義明 特別養護老人ホーム緑風荘施設長

中村博彦 公益社団法人全国老人福祉施設協議会常任顧問


司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)


全国老人福祉施設協議会のホームページ

http://www.roushikyo.or.jp/jsweb/html/public/


会見リポート

合格の喜びと注文

宮武 剛 (毎日新聞客員編集委員、NHK(Eテレ)「福祉マガジン」編集長)

インドネシア人の介護福祉士候補95人(うちフィリピン人1人)が初めて国家試験を受け、36人(同1人)が合格した(合格率37・9%、全体は63・9%)。「狭き門」をくぐり抜けた男女2人が喜びと制度への注文を率直に語ってくれた。


精悍な風貌のワヒューディンさん(30)は徳島県の特別養護老人ホームで研修を続けた。「日本人と同じ賃金をもらえる。母国では看護師として働き月給7000円程度。こちらでは、その十数カ月分の月給だ。他の国では外国人は安く使われる」と来日の動機を振り返った。


清楚なサエラン・アスリ・フジアンティさん(26)は岐阜県の特養ホームで働きながら「アイウエオから覚えた。試験は難しい。私には、いつも助けてくれる人がいたが、(職場の応援もなく)独りで学ぶ仲間もいた」と、不合格の友を気遣った。


経済連携協定(EPA)で両国から看護師、介護福祉士の候補者を受け入れる。看護師候補の今年度合格率は11・3%(全体90・1%)。


ワヒューディンさんは「研修生は(介護保険)制度上では職員としてカウントされない。なぜ“幽霊職員”なのか」「看護師候補は最大4回の受験チャンスがあるのに、介護は1回だけ」と、制度の矛盾を指摘した。


一定の成績を残した不合格者は残留・再挑戦可能だが、アスリさんは「(仲間たちに)先生がついてくれれば自信も生まれる。働くだけで帰国するのは悲しい」と、控えめながら研修先の職場や受け入れ態勢に注文をつけた。


優秀な職員を確保しなければ人材倒産に陥る介護現場の現実と、安い賃金で外国人を雇いたい思惑がせめぎ合う中で、制度をいかに改善するか。二人の若者の主張はたどたどしいが、雄弁だった。



ゲスト / Guest

  • インドネシア人介護福祉士 国家試験合格者

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