2012年03月23日 15:30 〜 16:30 10階ホール
アムル エジプト外相 記者会見

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 脇祐三(日経新聞)

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


エジプト大使館のホームページ

http://www.egypt.or.jp/


会見リポート

「革命」後を楽観、投資に期待示す

脇 祐三 (企画委員 日本経済新聞社コラムニスト)

昨年2月にムバラク政権が崩壊し、エジプトが軍の暫定統治に入ってから3人目の外相である。エジプトの外交方針は、ムバラク後にどう変わったのか?


「国益の基本は変わらないが、外交の力点の置き方は変わる」「過去30年は必ずしも積極外交ではなかった。今あらためて中東地域でのリーダーシップを追求している」。もっぱら米欧の方を向いた外交から、バランスのとれた外交にシフトする。だが、「イスラエルと結んだ平和条約も含め、これまでのコミットメントは順守する考えだ」と外相は答えた。


当面の焦点であるイランの核開発問題に、エジプトはどう対応するのか?


「いかなる国であれ、中東で核兵器を持つことに反対する。しかし、核の平和利用は認められるべきだ」と外相は説明した。そして、中東非核化に向け「イスラエルもイランも参加する会議の開催を実現したい」と力説。「イラン攻撃は地域全体の破局につながり、世界経済の混乱をもたらす」と、イスラエルへの警戒感も示した。


外相はもともと外交官だが、世界銀行への出向経験もある。「日本のビジネスマンがエジプトを有望市場と考えているのがわかった」「近くトヨタ自動車の工場がオープンし、生産を始める」。対日外交では経済関係強化が最も重要と考え、新規投資に期待していることが、会見でにじみ出ていた。


「新大統領が選出されて6月に体制移行が固まれば、経済混乱から脱して以前の成長軌道に戻る」「民主的で自由な社会が生まれると確信している」「外国投資家が求めるような透明な環境になる」。自国の未来は今より良くなるという楽観論が目立ったのは、1年あまりを経てなお続く「革命」の高揚感の表れかもしれない。



ゲスト / Guest

  • ムハンマド・アムル / Mohamed Amr

    エジプト / Egypt

    外相 / Foreign Minister

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