2012年01月24日 15:30 〜 17:00 宴会場(9階)
研究会「TPP」⑥ 新浪剛史 ローソン社長

会見メモ

シリーズ研究会「TPP」で新浪剛史・ローソン社長が賛成の立場から話し、質問に答えた。


新浪さんは、日本がTPPに参加すべき理由について、雇用をつくりだすことを第一にあげた。さらに、日本が自由貿易のルール作りに加わり、付加価値の高い製品を作ってアジアに輸出する重要性をあげた。ローソンでおにぎりを販売する経験から、「日本米の水分値が25%あるのに対し米国産米は15%しかなく、さめても食べられるおにぎりに使うのは無理だ」と具体例をあげ、TPPに参加しても米国産米がただちに日本の脅威にはならないと説明した。

また「日本人の国民感情が中国寄りになるのは好ましくないと米国は考えており、国民感情を無視した高圧的なTPP交渉を米国がやるとは思わない」「米国もルールを作った上で最終目標は中国だと考えている」「知的所有権問題では日米でタッグを組める」「遺伝子組み換え(GMO)の表示はしないと米国はいっているが、日本は豪州やニュージーランドと一緒に、表示するようにすべきだ」「TPPをきっかけに差別化し、強い分野で戦っていく」などと述べた。

TPPは国民が広く知るテーマであり、「貿易問題で初めて大きなイシューとなった。これからの交渉でも政府は情報を開示し、国民が議論していくべきだ」と訴えた。


ローソンの会社情報のホームページ

http://www.lawson.co.jp/company/


会見リポート

市場広がれば国内に雇用の場

村田 泰夫 (企画委員 朝日新聞出身)

TPP研究会で、産業界から初めての登壇である。「TPPは日本経済にとって必要であり、交渉への参加表明は朗報だ」という。


理由は明解である。「雇用を確保できるから」。労働集約型の産業は海外に出ていかざるを得ないが、「すり合わせ技術」では世界一の日本は、高付加価値なものをつくれる。中小企業も輸出に活路を開ける。アジアに市場が広がれば、国内に雇用の場が増えるというわけだ。


TPP参加交渉で、米国の意のままにされてしまうという「米国脅威論」については、日本を中国側に追いやる「高圧的な態度」を米国はとらないとの見解を示した。医療制度、遺伝子組み換え食品の表示問題など、日本が譲れない問題については、共闘できる国々とタッグを組むことで米国に対抗できる。これが多国間交渉の醍醐味だという。


農業については、TPP以前から日本農業は問題を抱えている。「農業界と産業界のコラボで生産性を上げたり付加価値を高めたりして、輸出できる産業に育てていく」べきで、それは可能だと説く。


関税をゼロにすると日本の稲作は壊滅するとの説については「そんなことはない」という。コンビニの主力商品である「おにぎり」に、米国産米を使うとパサパサになって国産米にはかなわない、のだそうだ。


米国産チェリーの自由化の際、日本産が壊滅するといわれたが、国産のサクランボの生産量は数倍に増えた。TPPは、日本農業を進化させるきっかけになり、自信を持って戦えるようになると力説した。


みずから農業経営に乗り出しているローソンは、いま全国に5カ所あるローソンファームを、3年以内に30~40カ所に増やす計画で、「農業の将来性は極めて有望」という言葉が印象的だった。



ゲスト / Guest

  • 新浪剛史 / Takeshi NIINAMI

    日本 / Japan

    ローソン社長 / President and CEO, Lawson,Inc.

研究テーマ:TPP

研究会回数:0

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