2011年11月10日 15:30 〜 17:00 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 大西隆 日本学術会議会長 記者会見

会見メモ

シリーズ企画「3.11大震災」


司会 日本記者クラブ企画委員 瀬口晴義(東京新聞)


日本学術会議のホームページ

http://www.scj.go.jp/index.html


会見リポート

「知のネットワーク」が3月に提言

瀬口 晴義 (企画委員 東京新聞論説委員)

戦後間もない1949年、首相直轄の「特別の機関」として設立された組織が日本学術会議だ。84万人の科学者を代表し、210人の会員と約2千人の連携会員からなる日本最大の「知のネットワーク」である。


科学の分野だけでなく、文学や哲学、農業といったすべての分野の学者を網羅する学術会議の会長に就任したばかりの大西隆さん(東大大学院工学系研究科都市工学専攻教授)にご登壇いただいた。


東日本大震災の復興構想会議の委員も務めた大西さんが記者会見で強調したのは、都市計画の第一人者らしく「減災」というキーワードだ。たとえ被災しても、人命が失われないことを最も重視し、災害時の被害を最小化するという考え方である。強固な防波堤や防潮堤を造って津波を防ぐという従来の発想からの転換を促す。物的損害はゼロにはできないという前提で、防災施設の整備に加えて、高台への集落の移転や「逃げる」ことを前提とした街づくりを提案する。


説得力があったのは、明治、昭和の大地震の教訓から、高台に移転した岩手県大船渡市三陸町吉浜地区を航空写真などで示した説明だ。津波が陸地の奥まで浸水したにもかかわらず、住宅被害は少なかった。「減災」の思想が伝わったと思う。


10月に発足した学術会議の震災復興支援委員会は①災害に強いまちづくり②災害振興・就業支援③放射線汚染対策─の3つの分科会で来年3月をめどに提言をまとめる。エネルギー対策についても時間をかけて議論を進めたいという。「ほとんどの会員が原発事故を自分の問題として受け止めている」と大西会長は語った。崩れた科学者への信頼をいかに回復させるのか。大西会長の手腕に注目したい。


ゲスト / Guest

  • 大西隆 / Takashi ONISHI

    日本 / Japan

    日本学術会議会長 / President , SCIENCE COUNCIL OF JAPAN

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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