2011年06月28日 12:00 〜 13:30 10階ホール
孫鶴圭 韓国民主党代表 昼食会

会見メモ

韓国の最大野党、民主党の孫鶴圭代表(国会議員)が昼食会で、韓日関係や韓国の政治について話した。


≪「韓国は経済成長の中、格差が広がっている。われわれは社会的統合をめざす」≫

孫氏は2012年の韓国大統領選で、野党の有力候補とされる。大統領選の意義について聞かれ「米中露で選挙や指導者交代がある年­であり、世界的な変化の中、韓国で行われる選挙だ。民生、福祉、正義を国民に説得し、新しい社会に導きたい。ハンナラ党と1対1­の対決なら勝算がある」と抱負を語った。

北朝鮮との南北関係について「交流と対話が北を改革・開放に導く。南北首脳会談を推進すべきだと李明博大統領に提案した。北の(­権力)世襲は間違っているが、相手にしないことができないのが現実だ」と述べ、対話路線を示した。


司会 日本記者クラブ企画委員 坂東賢治(毎日新聞)


孫鶴圭代表のホームページ(韓国語)

http://www.hq.or.kr/2011/main.htm


韓国・民主党のホームページ(韓国語)

http://www.hq.or.kr/2011/main.htm


会見リポート

大統領への道は険しいが

山本 勇二 (東京新聞論説委員)

来年末の韓国大統領選への出馬が有力視されている。だが各種世論調査だと、与党ハンナラ党の女性議員、朴槿恵氏が圧倒的支持を集め、それ以外の候補は「ドングリの背比べ」といってもよい。


孫氏は野党・民主党への支持が上昇していると強調し、「野党や進歩的勢力を統合して一騎打ちの構図になれば、(大統領選で)十分に勝算はある」と自信を示した。


笑顔を絶やさず穏やかな語り口。日韓関係でも竹島(韓国名・独島)問題の質問には深入りせず、1997年通貨危機での日本の支援に感謝し、大震災で見せた日本人の忍耐強さと団結力を称えた。丁寧に、具体的に説明し、相手の立場も考えて答える姿には好感を持てた。


いま韓国の電子機器、自動車メーカーは世界中で躍進している。一方で、社会格差は広がり若者の失業率は高い。孫氏は李明博政権が成長志向、市場万能主義だと批判し、「民生と福祉に力を入れ、特権層の腐敗を許さぬ正義を実現する」と述べた。対北朝鮮では李政権の封じ込め政策を批判し、「対話をして、改革開放に誘導することが最善の道」と関与政策の復活を訴えた。


国会議員4期。京畿道知事時代には日本のIT企業を誘致し、韓流ドラマや映画のスタジオを地元につくらせて観光名所にしたアイデアマンでもある。


だが党内の立地は強固ではない。民主党は金大中、盧武鉉両政権につながる国会議員と市民運動出身者らの寄り合い所帯である。しかも孫氏はもとはハンナラ党所属で、政争に敗れて民主党に合流した人物だ。党内で勝ち抜いて大統領選に駒を進められるか。道は長く、険しい。


知名度は高く、行政手腕も確かだが、明確な目標を示し多様な意見をまとめる強いリーダーシップを発揮できるかどうか。


ゲスト / Guest

  • 孫鶴圭 / Sohn Hak Kyu

    韓国 / The Republic of Korea

    民主党代表 / Chairperson, The Democratic Party, The Republic of Korea

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