2011年06月21日 13:30 〜 14:30 10階ホール
スリランカ財務計画・国際資金協力相 記者会見

会見メモ

アムヌガマ大臣は、2年前に内戦が終わり、昨年は8%成長を達成したとして、スリランカが投資対象として魅力ある国になってきているとアピールした。新空港の建設や港湾施設の近代化などインフラ整備を進めている。中国、日本、インド、イランからの水力や石炭火力発電への投資で、電力安定供給が可能な南アジアで数少ない国になっている、とも。援助のあり方が変わり、中国、インドからの民間直接投資が急増している。公的部門への開発援助供与国の日本、米国、EU諸国の重要性は変わらないが、これまで以上に民間部門への投資を増やして欲しいとの思いをにじませた。


司会 日本記者クラブ専務理事 中井良則


在日スリランカ大使館のホームページ

http://www.lankaembassy.jp/index_ja.htm


会見リポート

視線は日本より中国?

本間 麻衣 (共同通信外信部)

約2年前に政府軍と反政府武装勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との25年以上に及ぶ内戦が終わったスリランカは今、経済成長が著しいという。


アムヌガマ氏は「内戦が成長の足を引っ張ってきた」と指摘。国内総生産(GDP)成長率について、昨年は8%だったが、今年は9%台も期待できるとの見通しを示し「かなり良い実績だ。新興経済国の最前線に躍り出た」と自信をのぞかせた。


アムヌガマ氏によると、スリランカ政府は現在、主に3つの分野で戦略的にインフラ整備を進めている。


1つ目は港湾や国際空港の建設。中継貿易の拠点として古くから栄えたコロンボや国内最大級の南部ハンバントータなど5つの港湾や空港を活用し、国際的なハブ(拠点)化を加速させる。


2つ目は内戦でLTTEの拠点となっていた北部を含め全国を網羅する道路や鉄道の整備。3つ目は水力や火力による電力エネルギーの整備で、来年はエネルギー供給が需要を上回る見込みだという。


こうしたインフラ整備を支えているのが、世界各国からの援助だ。


スリランカにとって日本は最大の援助国。アムヌガマ氏は「日本は一貫して長期にわたるパートナーだった」と日本のこれまでの姿勢を評価した上で「今日、援助のあり方が大きく変わってきている」と指摘した。


これは、隣国インドや、「真珠の首飾り」戦略を進める中国を念頭に置いている。特に中国は近年、ハンバントータ港や発電所建設など巨大プロジェクトを次々と援助し、スリランカでの存在感を強めている。


スリランカの開発援助は、同国と歴史的にも縁が深い日本の〝独壇場〟だったはずだが、もはやスリランカ側の視線は別の方を向いているようにも聞こえた。



ゲスト / Guest

  • サラット・アムヌガマ / Sarath Amunugama

    スリランカ / Sri Lanka

    財務計画・国際資金協力相 / Deputy Minister of Finance and Planning,Senior Minister of International Monetary Cooperation

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