2011年06月08日 14:00 〜 15:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」 渡邉光一郞 生命保険協会会長

会見メモ

東日本大震災に対する生命保険業界の対応について、渡邉光一郎・生命保険協会会長・第一生命保険社長が説明し、質問に答えた。


契約者の安否確認、保険金支払いのセーフティネットなど生命保険業界の取り組みを紹介した。今後の課題として、多数の行方不明者への対応や震災孤児の支援、社会保障・税に係る番号制度の活用をあげて説明した。大震災の生命保険の支払い見込み金額は推定2000億円で、これまでに個人保険7500件635億円、企業保険1000件75億円が支払われた、と述べた。全国の1年間の生命保険金支払いは25兆円で、分母が大きいため、大震災の保険金支払い額は今後の保険料率に影響するレベルではない、という。


司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)

使用したパワーポイント資料

http://www.jnpc.or.jp/files/2011/06/6db508943950f7fc51b3fa8d9214d9c0.pdf

生命保険協会のホームページ

http://www.seiho.or.jp/


会見リポート

共通番号制導入と保険金支払い

若杉 敏也 (日本経済新聞・産業地域研究所)

政府・与党が社会保障・税の共通番号導入を検討している。東日本大震災をきっかけに、「大災害時における真に手を差し伸べるべき者に対する積極的な支援」(「社会保障・税番号要綱」)が重要だという観点から、早期実現を求める声が急速に高まってきた。


死者が1万5千人を超え、8千人以上が不明(6・8時点)となっている「3・11」の惨事を受けて、生命保険各社は様々な対応業務に追われている。生命保険協会のトップを務める渡邉光一郎第一生命社長は会見で、顧客の安否確認や災害対応のコールセンター運営、行政との折衝など業界の取り組みを丁寧に説明した。


会見の締めくくりには、現在直面している課題として「被災地でどうやって亡くなった方を確定するかが、非常に難しい」と語った。保険金を支払うために生保会社はまず個人を特定しなければならない。死亡認定をスムーズに行うための方策として「現在、共通番号制度の導入が検討されており、これは大変重要な要素だ」と訴えた。


渡邉さんによると、ICT(情報通信技術)を活用した共通番号制度が整備されれば、迅速な保険金の請求案内に大いに役立つという。例えば、報道などで被保険者の死亡が明らかになった時点で行政情報を参照できれば、死亡事実を速やかに確認できる。また、受取人が亡くなった場合に、行政情報を通じて相続人など請求権を持つ人を特定することも可能になるといった具合だ。


「米国、韓国、スウェーデンなど番号制度の浸透している国は民間企業の利用を制限していない。制度が社会に浸透している」。渡邉さんは海外の事情を引きながら、行政情報を民間に開放して官民連携により取り組むことが重要だと述べた。


政府・与党は早ければ今秋にも番号制度の法案を提出する構えだ。被災者と直面した生保業界の声は、導入へ向けた議論にきちんと反映させていくべきだろう。


ゲスト / Guest

  • 渡邉光一郞 / Koichiro WATANABE

    日本 / Japan

    生命保険協会会長 / Chairman, The Life Insurance Association of Japan

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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