2011年06月07日 14:00 〜 15:00 宴会場(9階)
シリーズ企画「3.11大震災」 原発立地県 知事 記者会見 川勝平太・静岡県知事

会見メモ

浜岡原発が稼働停止した静岡県の川勝平太知事が「原発立地県知事」シリーズで記者会見し、浜岡原発停止の経緯や今後の見通しについて語った。


≪防潮堤が完成後、浜岡原発の再開を認めるかどうかは、自分たちで安全性を徹底的にチェックする≫

川勝知事は3月11日の時点で、浜岡原発の1,2号機はすでに廃炉となり、3号機は定期点検が終わり再稼働の判断待ちだったこと、4号機は2012年1月、5号機は2012年3月にそれぞれ定期点検に入る予定だったことを説明した。5月6日、海江田経産相から電話があり「3号機の再開は行わず、4,5号機についても止める」という方針を伝えられた。川勝知事は、3号機を止めるだけでメッセージ性があり、4,5号機をすぐに止めてしまうと電力不足への対応で混乱が増幅すると考えていた、と述べた。3.11以前は日本の科学技術を信頼し、原子力は安全という前提だったが「いまやすべてが想定内となった。浜岡原発の20キロ圏内には新幹線や東名高速が走り、原発事故が起こると交通が止まり静岡は陸の孤島となる」と説明した。

防潮堤が完成すれば運転再開を認めるか、との質問に対し、「原発の前面に15メートルの防潮堤が建設される。敷地の両横を流れる川をさかのぼる津波はどうなるのか。引き波が防潮堤に当たって跳ね返るのではないか。防潮堤だけで安全とはいえない。県がみずから専門家に安全性をチェックしてもらう。原子力安全保安院は信頼性をなくした。経産省が安全といっても、原発は動かせない」と独自に判断することを強調した。

司会 日本記者クラブ企画委員 川戸恵子 (TBSテレビ)


静岡県のホームページ

http://www.pref.shizuoka.jp/


会見リポート

浜岡運転再開は県独自の判断で

塚田 健太 (毎日新聞政治部)

福島第一原発の事故が、西南に400㌔離れた中部電力の浜岡原発を全面停止に追い込んだ。東海地震の想定震源域の真上にあり、地震学者らが「最も危険」と指摘していた浜岡原発への懸念の声が国内外から高まったためだ。立地県の知事として、原発にどう向き合っていくのか。


「後ろの人の顔が見えないので」とすすめられたいすを断り、発言の合間を除いて1時間あまり、立ったままでの会見となった。


「事故は起こらない、放射能は漏れないとされていたが、実際は事故が起き、放射能が漏れ、メルトダウンしていた。10㍍以上の津波、冷却装置の喪失──、すべては想定内になった」。3・11以降の原発を巡る状況の変化をこのように指摘。中部電力の水野明久社長は「海江田万里経済産業相は、さらなる津波対策を実施すれば浜岡原発は再開可能と確約した」としたが、「国が大丈夫といっても、最高の知識人、専門家により、安全性を自ら徹底的にチェックする。『国に従います』では地方分権ではない」と、運転再開については県独自で判断する姿勢を強調した。


同時に「使用済み核燃料と、使用中の燃料棒は、運転を停止しても冷却し続ける必要があり、危機が去ったとは思わない」との懸念も表明。「核のゴミをどうするつもりなのか、真剣に考えたことがあるのか。それがない限り、『原発が低価格』というのは、メダルの片方しか見ていなかった考え方」と、放射性廃棄物問題を先送りし続けることは許されないと訴えた。


中部電力は早ければ13年の浜岡原発の運転再開を目指す。「国と電力会社にだまされた、とは決して言いたくない」との言葉通り、知事として県民の安全を守ることができるのか。1期目最後の年に、重い判断を迫られることになる。


ゲスト / Guest

  • 川勝平太 / Heita KAWAKATSU

    日本 / Japan

    静岡県知事 / Shizuoka Prefectural Government

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」原発立地県 知事 記者会見

研究会回数:0

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