会見リポート
2011年01月28日
13:30 〜 14:30
10階ホール
マルズキ・ダルスマン 国連北朝鮮人権問題担当特別報告者
会見メモ
北朝鮮(DPRK)の人権状況に関する国連特別報告者として訪日したマルズキ・ダルスマン氏が記者会見し、訪日調査の内容を発表した。
≪「拉致問題は、単に日本とDPRK二国間の問題ではなく、国際社会全体に関係し、DPRKの人権状況とも強く結び付いている」≫
インドネシアの元検事総長のダルスマン氏は韓国に続いて日本を訪問し、前原外相ら政府高官、拉致被害者の家族らと会い情報を集めた。記者会見で声明を発表し、「拉致被害者と家族への共感」を表明した。日本だけでなく韓国、レバノン、タイなど多くの国が北朝鮮の拉致による被害を受けていることを指摘し、国際社会の問題であり、北朝鮮国内の人権にもかかわるとの立場を示した。北朝鮮はダルスマン氏の訪問を受け入れていない。「北朝鮮に孤立する余裕はない。国際社会との対話が必要だ」と北朝鮮によびかけた。ダルスマン氏は2011年3月、北朝鮮人権問題に関する報告書を国連人権理事会に提出する。
司会 日本記者クラブ企画委員 川村晃司(テレビ朝日)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
国連広報センターのホームページ(ダレスマン氏の声明)
http://unic.or.jp/index.php
会見リポート
北朝鮮に報告者受け入れを期待
出石 直 (NHK解説委員)
会見の冒頭「訪日調査終了にあたっての声明」を発表、拉致問題に具体的な進展が見られないことについて「国際社会にとって遺憾の極み」との認識を示した。
「北朝鮮当局には、長年の拉致問題の真相を明らかにし、これを解決するとともに、国民の人権・人道状況に関する問題全体に取り組む義務がある」「2008年8月に行った未解決事件の再調査を行うという約束に立ちかえるよう強く促す」と強調、責任者の国際刑事責任の追及にも言及した。
北朝鮮の人権状況報告者は2004年の国連人権委員会決議で設置されたが、北朝鮮は特別報告者の入国要請を拒み続けている。「北朝鮮には孤立する余裕はない。北朝鮮当局がこれまでの方針を変更し、私とのやりとりに応じるという期待のもと、当局への働きかけを続けていきたい」と述べ、北朝鮮への訪問に期待をにじませた。
今回の訪日調査結果は、ことし3月、ジュネーブでの国連人権理事会に提出される北朝鮮の人権状況についての報告に反映される。
北朝鮮と結びつきの深いインドネシアの出身。バンドンのパラヒャンガン・カトリック大学で国際法を学んだ後、国会議員や検事総長などを歴任した。
「人権と同様に人道支援も忘れてはならない」と人道支援の重要性を訴えて会見を締めくくった。
ゲスト / Guest
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マルズキ・ダルスマン / Marzuki Darusman
国連北朝鮮人権問題担当特別報告者 / United Nations, Special Rapporteur on the Situation of the Human Rights in the DPRK