会見記録/昼食会/研究会

2010年11月25日    12:00〜 14:00
米パデュー大学特別教授 根岸英一    宴会場(9階)

氏名 根岸英一 Name Eiichi NEGISHI
肩書 米パデュー大学特別教授 Title Distinguished Professor ,Purdue University

会見メモ

ノーベル化学賞受賞が決定した根岸英一・米パデュー大学教授が、昼食会で研究に至る過程とその成果について解説した。


帝人に入社後、フルブライト奨学金でペンシルバニア大学に留学した根岸氏は、「専門分野の基礎を身に付けたのはこの留学で猛烈に勉強したからだ」とふりかえった。「年に8回あるテストですべてexcellentの評価をもらったのは私ぐらいだろう」とそこで自信をもつようになったと語った。

その自信の根拠も科学的に説明してみせた。「ノーベル賞を受賞する確率は1千万分の1といわれており、それは途方もない確率だと人は考える。しかしそれを10の7乗と考えればいい。例えば中学のクラスが30人だとすると、その中で3番に入れば10分の1だ。それを繰り返していけば、いつか1千万分の1に到達する。ブラウン先生のゼミに入れた時には、その確率は1000分の1くらいまできていたはずだ」という。

今後の夢は、「触媒の作用をさらに研究して、農業を化学工業にすることだ」と語る。窓の外の日比谷公園の木々を指し、「自然界は光合成という化学反応を確かにしている。研究すれば100%それを人工的にできるはず。それこそが科学者の使命だ。80歳まで数年ある。まだまだ挑戦していきたい」と意欲満々だった。


司会 日本記者クラブ企画委員 井田由美(日本テレビ)
代表質問 日本記者クラブ企画委員 瀬川至朗


パデュー大学ホームページの「根岸英一特別教授 ノーベル賞決定」のサイト

http://www.chem.purdue.edu/negishi/


ノーベル賞ホームページの化学賞のサイト(英語)

http://nobelprize.org/nobel_prizes/chemistry/laureates/2010/

YouTube

米パデュー大学特別教授 根岸英一 写真 1 米パデュー大学特別教授 根岸英一 写真 2 米パデュー大学特別教授 根岸英一 写真 3    

記者による会見リポート

欲張りと疑い深さで研究

2010年のノーベル化学賞に決まり、ストックホルムの授賞式に向かう途中に帰国し て、日本記者クラブの昼食会で縦横に語った。「多少あいまいな面もある化学が私の性に合っていた」と話し始めた。帝人に入社後、フルブライト奨学金で米国 に留学、ペンシルベニア大で学び「学問の知識を植え付けられた」。

「周期律表に化学のエッセンスが収められている」が信念。周期律表でd ブロックにある遷移金属の多彩で素晴らしい反応性にひかれた。「特にパラジウムは百万回も欲しい有機化合物を効率的に作ってくれる。受賞で一番のポイント はパラジウムの触媒作用が認められたことだ。これで有機合成に革命を起こした。遷移金属の触媒はますます重要になる」と自負した。

この分 野では日本人研究者の活躍が目立つ。「受賞する我々3人はラッキーだった。貢献度の高い方が何十人もおられる」と同じ分野の研究者に言及した。「今関心を 持っているのは光合成。二酸化炭素と水から、太陽の光で炭水化物を合成する光合成は古来、自然がずっとやっている」と窓外の日比谷公園の林を示し、「絶対 に必要なのは金属の触媒。人工的に必ずできます」と夢を語った。

触媒に使える元素は約70しかない。「2種類の元素を使えば素晴らしい反 応ができる。金属の組み合わせの妙を50年かけて実証してきた」「周期律表を参考にしながら、欲張りと疑い深さで研究してきた」「研究は個人力に大きく頼 る。誰でもできる。出るくいを伸ばしていく方が全体を引っ張る力になる」と話し、「私も後期高齢者入りしたが、80歳まで数年ある。化学的光合成の開発な どに挑戦していきたい」と意欲を見せた。


共同通信編集委員 小川 明
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