2010年10月22日 00:00 〜 00:00
アルバロ・コロン・カバジェロス・グアテマラ大統領

会見メモ

日本との外交関係樹立75周年を迎えたグアテマラのコロン大統領が記者会見し、質問に答えた。

質疑応答でコロン大統領は、グアテマラと米国の関係について「強い結びつきがあるが、追随ではない。グアテマラの外交は独自の道­を進んでいる」と述べる一方、ベネズエラなど中南米の左翼政権が進める米州ボリバル代替統合構想(ALBA)には加わらない立場­を示した。また、APECに加盟したいとの意思を明確にした。日本との自由貿易については、グアテマラと中米統合機構(SICA­、8カ国、グアテマラが2011年議長国)が関心を持っていることを強調し、貿易に限定せず、技術協力や文化交流も含んだ経済連­携協定(EPA)を望むと述べた。また、台湾との外交関係を維持する方針を確認し、「私の政権では中国との外交関係樹立はない」­と述べた。
司会 日本記者クラブ企画委員 石郷岡建
通訳 丸山啓子

在日グアテマラ大使館のホームページ
http://www.embassy-avenue.jp/guatemala/index-j.html
外務省ホームページのグアテマラ情報
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/guatemala/data.html

会見リポート

対米自立を自負 異色の文人政治家

伊藤 千尋 (朝日新聞元サンパウロ支局長)

中米グアテマラはかつてのマヤ文明の中心であるとともに、1996年まで36年に及ぶ内戦が続き20万人の犠牲者を出した国でもある。

内戦後は旧軍事政権の系統を引く右派政権が続いたが、2007年の大統領選挙で初めて中道左派が勝利した。国民希望党のコロン氏は社会民主主義を掲げる政治家だ。

国民和解の進展について「和解協定は順調に守られている。極貧の解消や先住民の社会参加、男女平等などが進んでいる」と語った。社会格差の解消が政治の対立解消につながるという信念からだ。

隣国ホンジュラスでは軍によるクーデターが起きた。コロン氏は「我が国でクーデターの可能性はないと言えるが、クーデターもどきのようなことは過去にあった」と物騒なことを口にした。一方で、「軍が効果的であるよう装備の近代化を進めている」と語った。裏を返せば、兵士を減らして軍の政治力を弱めているという意味だ。

外交では「過去の中南米は米国の処方箋に従ったが、今は各国のモデルを展開している。米国に追随するのでなく、我が国独自の路線を歩んでいる」と対米自立を誇った。そのかたわら、キューバとの外交関係の正常化を進めている。過去10年間にキューバ人医師450人を受け入れ、グアテマラの学生600人がキューバに留学しているという。

穏やかな風貌は産業経営学の大学教授だった当時から変わらない。語る口調も物静かで、声高な政治家が多い中南米では異色だ。自宅でマヤ古来の宗教儀礼にのっとった祈祭をするほど先住民の文化に関心が深い。そんな文人政治家が「コーヒーだけでなくマンゴも買って」と言うときだけ、シャイな表情になった。

ゲスト / Guest

  • アルバロ・コロン・カバジェロス / Alvaro COLOM Caballeros

    グアテマラ共和国 / Guatemala

    グアテマラ大統領 / President, Guatemala

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