2010年08月23日 00:00 〜 00:00
国際ペン東京大会2010

会見メモ

2010年9月、国際ペン大会を四半世紀ぶりに東京で開催する日本ペンクラブの阿刀田高会長らが記者会見し、「国際ペン東京大会­2010」(International PEN Congress Tokyo 2010)の意義や日程の詳細を発表した。阿刀田会長のほか、日本ペンクラブの浅田次郎・専務理事(Jiro Asada)、吉岡忍・常務理事(Shinobu Yoshioka)、堀武昭・常務理事兼国際ペン理事(Takeaki Hori)が説明し、質問に答えた。

国際ペン大会は国際ペンの年次総会として世界各地で毎年開催されている。日本では1957年(川端康成会長)、1984年(井上­靖会長)に開催された。日本ペンクラブ創立75周年にあたる2010年、26年ぶりに東京で開催する。大会テーマは「環境と文学 ――いま、何を書くか――」。世界各国の82センターが代表を送り、海外の参加者約250人、日本国内とあわせのべ5000人の­参加を予定している。阿刀田会長らは、9月23日から同26日まで、早稲田大学を会場に日本ペンクラブが主催する文学フォーラム­、9月26日の開会式(早大大隈講堂)、9月26日から同30日まで京王プラザホテルで開く国際ペンの代表者会議、各委員会、セ­ミナーなどの日程を説明した。開会式では井上ひさしの群読劇「水の手紙」の公演、およびカナダの女性作家、マーガレット・アトウ­ッドと華人系作家として初のノーベル文学賞を受賞した高行健の二人の基調講演が行われる。
堀武昭・日本ペンクラブ常務理事兼国際ペン理事が、東京大会で行われる国際ペン専務理事選挙に日本人として初めて立候補すること­も発表された。質疑応答では電子書籍に対するペンクラブの対応や国際ペン専務理事のポストをめざす目的などの質問にも答えた。
司会 日本記者クラブ企画委員・瀬川至朗

社団法人日本ペンクラブのホームページ(国際ペン東京大会のプログラムも掲載)
http://www.japanpen.or.jp/


会見リポート

真の「国際ペン」へ改革の機運

角谷 正樹 (時事通信文化部)

26年ぶり、3度目の開催となる国際ペン東京大会(9月23~30日)には、82カ国以上が参加の見通しで、国際ペンの年次総会としては過去最大規模。ノーベル文学賞作家の高行健氏ら著名な海外作家を招いての文学フォーラムなど関連行事も予定されている。日本ペンクラブの阿刀田高会長は「東京大会には従来から大きな期待がかけられてきた。今回も世界に誇れる大会にしなければならない」と強調した。

こうした日本ペンの意気込みの背景には、アジアのプレゼンスを高めることで、これまで欧州中心に運営されてきた国際ペンを、真にグローバルな組織へ変革したいとの思いがある。

1921年、文学振興を目的にロンドンで創設された国際ペンは、現在では世界102カ国に144のセンターを持つ。だが、アジアや米州の文学が世界から注目されている今も、主要な役職が欧州勢に占められ、一部実力者の非公式な話し合いで決議事項が決められているとの不満が、非欧州勢の間で高まっている。

阿刀田会長は、日本から国際ペンへの拠出金額が世界2位である点を挙げ、「貢献をしている割には、アジアからの発言がなかなか国際ペンの舞台で採用されない。それを少しずつ打開しないと、こういう団体がグローバルであることは難しい」と訴えた。

そんな中で、国際ペンの理事会を統括する専務理事の役職に、日本ペン常務理事の堀武昭氏が立候補している。選出は東京大会で行われ、スイス人との一騎打ちとなる。堀氏が当選すれば日本人初の専務理事となり、国際ペンの真の「国際化」へと一歩を踏み出すことになる。


ゲスト / Guest

  • 阿刀田高 / Takashi Atouda

    日本ペンクラブ会長 / President, The Japan P.E.N. Club

  • 浅田次郎 / Jiro Asada

    同専務理事

  • 吉岡忍 / Shinobu Yoshioka

    同常務理事

  • 堀武昭 / Takeaki Hori

    同常務理事

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