会見リポート
2010年02月22日
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ピンディー・ステファン・国際移住機関(IOM)上級移民統合研修官
会見メモ
IOM駐日事務所のホームページhttp://www.iomjapan.org/
定住国への出国前に、IOMは難民に対し受け入れ国の文化・言語について研修を行っている。タイの難民キャンプで暮らすミャンマー難民を日本は「第三国定住」として初めて受け入れる。3年間で計90人の予定。IOMは日本の生活に早く慣れるよう、出国前研修を難民キャンプで行うが、ステファンさんはその内容や計画を説明した。会見には中山暁雄・IOM駐日代表も同席し、第三国定住プログラムについてIOMの取り組み方を話した。
司会:中井良則事務局長
会見リポート
「第三国定住」を現実的なものに
松本 成至 (NHK報道局社会部)
IOMはその難民たちが日本に向けて出国する直前、基本的な日本語や生活習慣などを約1ヵ月かけて教える研修を担当する。ステファン氏はその責任者で、難民への研修では20年のキャリアを持つという。家族を失ったり命の危険に冒されたりする難民と長年接してきた経験をうかがわせる柔らかな語り口で、IOMが行う研修について説明した。
出国前研修は、難民が入国直後の生活にスムーズに入れるようにするための準備だ。あいさつなど基本的な日本語を教えるのはもちろんだが、それ以前に、例えば多くの難民が未経験の「飛行機の乗り方」などについてもかなりの時間を割くという。
印象に残ったのは「重要なのは、日本について正確な情報を提供し、難民が抱く期待を、より現実的なものにしていくこと」という言葉だ。難民が抱く期待に対して、研修官はどんな『日本の現実』をつきつけるのだろうか。
難民は入国後も半年間、本格的な日本語などの研修を受けるが、その後は、住居も職業も自分で探し自立して生活することが求められる。半年だけで日本社会になじんでいけるのか、懸念する声も上がっている。
新たな試みは、日本が難民をどう受け入れるのか、定住者=隣人として迎えるつもりがどこまであるのか、受け入れ側の日本政府だけでなく、結局は私たち一人一人が考えていく一つのきっかけとなるのかもしれない。
ゲスト / Guest
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ピンディー・ステファン / Pindie Stephen
国際移住機関(IOM)上級移民統合研修官 / Senior Migrant Training Officer, International Organization for Migration