2010年02月08日 00:00 〜 00:00
アリ・アーメド・ジャマ・ジャンゲリ・ソマリア暫定連邦政府外相

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会見リポート

崩壊国家の「人質」救出を

二村 伸 (NHK解説主幹)

内ではテロと飢餓、外では海賊と、混迷の度を深めるソマリア。20年間にわたり無政府・無法状態が続き、過激派の巣窟となっている現状を、暫定連邦政府のアリ外相は「国民が人質にとられている」と表現し、治安の回復と国家再建への支援を求めた。

2005年に樹立された暫定連邦政府・TFGは、反政府勢力との和解を呼びかけているが、イスラム過激派アッシャバーブは協力を拒み、首都モガディシオの制圧を続けている。

アリ外相は「過激派はアルカイダとつながり、資金は国外から潤沢に流れ込み、戦闘員がアフガニスタンなどから入って来ている」と指摘。治安回復のためには「強く効果的な政府」が必要だとして、反政府勢力に和解と政府への参加を呼び掛けるとともに、治安部隊創設に全力をあげていることを強調し、日本には武装解除への支援と沿岸警備隊への装備の提供や訓練への支援を求めた。
ソマリア沖・アデン湾で頻発している海賊事件は「陸上の問題」、つまり若者が仕事に就けず希望を失っていることが背景にあり、雇用の創出と人材の育成が問題解決の鍵であるとの見方を示した。

国際社会から見放され世界で最も悲惨な国・ソマリアの人々を救おうにもこれまでは受け皿がなく、援助機関の職員が次々と誘拐される状況では手の施しようがなかった。アリ外相は反政府勢力に対し「これまで飴と鞭の両面だったが、これからは鞭を使う」として、和解に応じないアッシャバーブを近く駆逐し、「政府」の支配地域を拡大していきたいと自信を示した。しかし、暫定連邦政府がどこまで国を掌握できるのか、氏族や軍閥が支配するソマリアの統一と和平への道のりは険しい。現状を聞くにつれ暗澹とした思いになった会見だが、「人質」を救うためにも国際社会はこれ以上放置できない。
 

ゲスト / Guest

  • アリ・アーメド・ジャマ・ジャンゲリ / Ahmed Jama Jangeli

    ソマリア共和国 / Republic of Somalia

    ソマリア暫定連邦政府外相 / The Foreign Minister of Somalia tentative federal government

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