2010年01月06日 00:00 〜 00:00
ロバート・フェルドマン・モルガン・スタンレー証券経済調査部長「2010年経済見通し」

会見メモ

下記、会見詳録の末尾に、会見で使用した資料もあります。

会見リポート

今年は夜明けの香りが…

野坂 雅一 (読売新聞論説委員)

金融危機が最悪期を脱した後、2010年の経済はどうなるか。年初恒例の新年経済見通しに関する研究会に、トップバッターで登場した。

蝶ネクタイ姿は、テレビのコメンテーターでお馴染みだ。鳩山政権が行った昨年末の「事業仕分け」で、外国人としてただ一人、仕分け人を務めたことで知られる。この日も流暢な日本語で、明解な語り口だった。

「今年は複雑で、おもしろい年だ。夜明けの香りがある」。冒頭にこう指摘し、様々なテーマを取り上げた。

米経済については、「緩やかに回復し、FRBは年末までにFF金利を2%まで上げる」と述べた。一方で、日本経済は、「金利が上がるどころか、デフレが続くので、日銀が量的緩和に踏み込むしかない」とばっさり。

「1㌦=109円の円安になる」との見方も示した。円安を待望する輸出企業にはありがたい予想だろう。

政府の経済政策に及第点は与えられないようだ。「デフレをようやく認め、政策を修正している」としながらも、「規制緩和で需要喚起すべきだ。農業などテーマはいくらでもある。技術革新が速ければ、2~3%成長は可能だ」と強く促した。

日本に耳の痛い話ばかりでなかったのは救いだったかもしれない。

着用してきたという日本製のヒートテック下着と、老眼用の便利なめがねを例に、「日本には創意工夫がある。暗い、暗いという話が多いが、日本にはすごいチャンスが待っている」と繰り返した。

会場にしばしば質問を投げかけ、プレス側を試したのもフェルドマン氏らしい。「農地法読んだ人は?」「北海道開発局の職員数は?」。難問に苦慮した出席者も多かっただろう。

最後に、「日本を治すのは日本人です」と強調したことが印象的だった。日本での勤務が長く、親日家であるがゆえのエールと思いたい。

ゲスト / Guest

  • ロバート・フェルドマン / Robert Alan Feldman

    アメリカ合衆国 / USA

    モルガン・スタンレー証券経済調査部長 / Managing Director, Morgan Stanley MUFG Securities

研究テーマ:2010年経済見通し

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