会見リポート
2009年12月15日
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川口順子、ギャレス・エンバス・核不拡散・核軍縮に関する国際委員会共同議長
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会見リポート
先制不使用宣言は建設的意見か
笹島 雅彦 (読売新聞調査研究本部主任研究員)
ところが、政権交代で就任した岡田外相は米国に対し、「核の先制不使用」宣言を求める持論を展開。報告書では、25年までの「中期的行動計画」の項目で「核の先制不使用」宣言を求めている。これは、豪政府主導によるキャンベラ委員会報告(1996年)の延長線上にある提言だが、皮肉にも岡田外相にお墨付きを与えた格好だ。
それでも川口氏は、記者会見で「政府の2歩前を歩こうとしてやってきた」と胸を張った。質疑では、「米国など核保有国が核の先制不使用宣言をすると、北朝鮮やイランは核開発計画を放棄するのか」「宣言後、北朝鮮が生物・化学兵器で日本を攻撃しないという『強固な保証』をだれがどのように与えるのか」などの質問が出た。しかし、エバンス氏は「北朝鮮やイランが核開発をやめることはないだろう。我々はそんなに無邪気ではない」と繰り返すばかりだった。
報告書は、2025年までに世界の核兵器を90%削減し、計2000発までに減らすべきだと主張しているが、その先、ゼロに近づける道筋を示していない。その点でも、報告書に対する評価は、人によって様々だろう。
オバマ米大統領は、プラハ演説などで先制不使用宣言に触れていない。それなのに、米国の拡大抑止に依存する日本が、米国の核戦略の柔軟性に制約を加えるよう要求することは、同盟国として建設的意見と言えるかどうか。私には、核軍縮・核不拡散の本筋から離れ、横道に2歩それてしまった提言に思えてならない。
ゲスト / Guest
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川口順子 / Yoriko KAWAGUCHI
日本 / Japan
核不拡散・核軍縮に関する国際委員会共同議長 / Joint Chairman,ICNND
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ギャレス・エバンス / Gareth EVANS
オーストラリア / Australia
核不拡散・核軍縮に関する国際委員会共同議長 / Joint Chairman,ICNND