2009年11月25日 00:00 〜 00:00
河合正弘・アジア開発銀行研究所長

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会見リポート

まずはASEANプラス3で

小此木 潔 (朝日新聞論説副主幹)

目から鱗が落ちた。経験豊かな一流の経済学者ならではの分析とメッセージの力強さだった。

「東アジア共同体」について、「日本経済の生き残りのために、発展するアジア市場と深く結び付くことが不可欠」と意義づけ、東アジア経済連携協定(EPA)を手始めに「ASEAN(東南アジア諸国連合)プラス3(日本、中国、韓国)でまとまってから、インドなどに呼びかけるべきだ」と語った。

その理由は、①中国と日本の主導権争いは非生産的で、ASEANを中心に考えるのが適切②非関税障壁が高いインドを含む「ASEANプラス6」の枠組みでは、合意に時間がかかりすぎる③米国を入れてスタートすると、まとまらなくなる可能性がある、などだ。

米国が東アジア共同体に入りたいむね意思表示していることについては、「もし本気であれば、まずNAFTA(北米自由貿易協定)にアジア諸国を入れるということをなぜ言わないのか」と指摘。

同時に、アジア各国が米国やEUとFTAを結ぶのはいいことで、「最終的には東アジアをNAFTAとつなげる」構想も示した。

日本と米国、中国とのFTAについては、「米韓FTAの批准が米議会で難航していることを考えると、日米より日中間のほうが早く実現するのではないか」と語った。

共通通貨については、「将来できるかどうかもわからないが、つくらなければアジアではいずれ人民元が基軸通貨になってしまう。それではまずい」と、中国の脅威感が大きくなることに懸念を示した。

日米安保という同盟の政治的重要性を強調するとともに、「ASEAN各国は対立を武力で解決しないという友好協力協定を加盟国間でも日中韓とも結んだ。これを土台にアジアの平和の礎をつくるべきだ」と語ったことも印象的だった。

ゲスト / Guest

  • 河合正弘 / Masahiro KAWAI

    日本 / Japan

    アジア開発銀行研究所長 / Research Director,ADP

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